prodotto ed arrangiato da Davide Bosio, Mauro TOndini, Enrico La Falce
batterie: Lele Melotti, Elio Rivagli
bassi: Paolo Costa, Luca Scansani, Lorenzo Poli
chitarre: Giorgio Cocilovo, Davide Bosio, Stefano Brandoni
tastiere: Luca Scarpa, Mauro Tondini
1999年に『Quello che ho』でアルバム・デビュー、翌2000年に「Chiedi quello che vuoi」でサンレモ音楽祭に参加(この年に『Quello che ho』をサンレモ・エディションで再リリース)したあと、活動を聞かないなぁと思っていたDavide De Marinis(ダヴィデ・デ・マリニス)セカンド・アルバム... かと思っていた『Come da 2 lunedi』ですが、実は2001年に『Passo dopo passo』というアルバムを出していたのですね。なのでこれは彼のサード・アルバムになります。
『Quello che ho』は不思議な魅力のあるアルバムで、けっこう気に入ってました。これといって派手さのない、とくにどうということのないポップスなのだけど、過不足なく練られたアレンジや、不意にLucio Battisti(ルーチォ・バッティスティ)の影が横切るのが感じられたりなど、聴いているうちにいつのまにかDavideの世界が耳にしみこんでくるのです。その後の活動・アルバムを期待させるに充分な作品でした。
で、サード・アルバムとなる『Come da 2 lunedi』です。
う〜ん。このアルバムでも、不意にLucio Battistiがうしろを通り過ぎるような(声質とメロディのつくり方に似てるところがあるのでしょう)部分はあります。ヴォーカルも、それなりに個性的です。ファースト・アルバムとのいちばん大きな違いは、このアルバムは妙に派手でゴージャスな印象があるところでしょうか。そして、ファーストではなかった(と記憶しています)R&B風味が妙に強く感じられるのです。
重く、ときに引きずるような音を持ったロックっぽい演奏。ドラム・マシンを多用し、わざと安っぽいキーボードのアレンジを組み合わせるところなど、最近の若いイタリアン・ロック・グループに見られる傾向ですよね。そして、Tiziano Ferro(ティツィアーノ・フェッロ)の成功以降(か?)急速にイタリアン・ポップス界に広まったソウル/R&B風味のヴォーカル。なんか、すごく「流行にひよった」印象を受けてしまいます。ファースト・アルバムで感じた彼の魅力は、そういった流行とは関係なく、淡々と素直に自分の世界を表現していたところにあったと自分は思っているのですけれど、残念ながらこのサード・アルバムは、Davide本人の姿がよく見えない気がします。オーヴァー・プロデュースなのかなぁ。ちなみにプロデュース&アレンジ(さらには作曲も)はファーストと同じ、Cattivi Pensieri(カッティヴィ・ペンシエーリ)のDavide Bosio(ダヴィデ・ボジオ)。そういえばCattvi Pensieriも長いこと名前を聞かない気がしますが、まだ活動しているのだろうか?
M1「E' stato un attimo」はミドル・テンポの、軽快なポップ・ロック・アレンジがされた曲ですが、メロディは哀愁系。ヴォーカルにはほのかにLucio Battistiの影を感じます。
M2「Tutto passa」はTiziano Ferroなどに代表される、ソウル/R&B系の曲。最近流行りのタイプですね。バックの演奏が妙にファットです。
M3「L'ipotesi」はスローな曲で、なめらかなロング・トーンを響かせるギターや、生まれては消える泡のようなキーボードのアレンジなどが、広がりを感じさせます。ここにもほのかにLucio Battistiの香りが。
M4「Fammi entrare」ではチープなキーボードでむかしのブリティッシュ・エレポップを思い出しました。ヴォーカルはソウル/R&B風、途中のギター・ソロもブルース風ですが、ヴォーカルのバックの演奏はおもちゃ箱をひっくり返したようなコミカルで楽しい演奏というアレンジのおもしろさに、なんとなくSimone Cristicchi(シモーネ・クリスティッキ)を思い出しました。
M5「Lasciati andare」はどことなくエキゾチックで妖しい雰囲気を持って始まります。でもサビではオーケストラが入り、イタリアン・カンタウトーレらしい感じになっていきます。
M6「La felicita'」は、ほんのりラテン・ジャズっぽい雰囲気を持った軽快で楽しげなポップス。クリーン・トーンのエレキ・ギターやオルガンのストロークが軽やかに響きます。
M7「Faccio fatica」は引きずるような重いベースとギターでブルース風に始まります。サビのあたりからはオーケストラも入り、哀愁ノスタルジー系のポップスになっていきますが、全体としてはソウル/R&B風味。
M9「Rimediami un abbraccio」はアコースティック・ギターのカッティングを中心にした軽やかなポップス。明るく乾いた感じがするのだけど、どこか哀愁もあるのがイタリア風でしょうか。終盤ではヴァイオリンも入り、穏やかな夕暮れ時の風景を思い浮かべました。
M11「Che sei」はニューウェーブ系ロック・グループのような重い演奏にのってソウル/R&B風味のヴォーカルが入り、サビではLucio Battistiの幻影が見えるといった感じ。
全体にソウル/R&B風味が強いとはいえ、全部の曲がそういうわけではありませんし、1曲のなかでも前半はソウル/R&B風味だけどサビからはイタリアン・カンタウトーレらしくなるといった曲もあります。メロディやヴォーカルにときどきLucio Battisti風なところが見えたり、あるいはSimone Cristicchiに通じるところを感じたりもします。そういった点でいろいろな期待も抱かせるのだけど、もともとソウル/R&B風味があまり好きでない自分にとっては、ファーストほどは興味を抱けないアルバムでした。なんか、育つ方向が、期待していた方向とは違ってしまったなぁという印象です。