1: PROLOGO
2: VITE PERDITE
3: TEMPUS EST IOCUNDUM
4: NU HOPPAR HAREN KROKA
5: RAGGASTHAUSEN
6: SOVIETICA VESUVIANITA'
7: GIROLIMONI N.1
8: ZELLE, ZEZE E ZEZZENELLE
9: TARANTELLA DEL GARGANO
10: LA MANU 'MPETTU
11: SALTARELLO
12: GIROLIMONI N.4
13: CHAMORRO CHA CHA
14: ZAMBA DEL CHE
15: LUNITA TUCUMANA
16: GIROLIMONI N.3
17: AUCIELLO R'O MIO
18: MISENI DUCTIA
19: TEMA DI MADDALENA
20: EPILOGO
feat. BISCA, 99 POSSE, 'E ZEZI...
“Napoli's Underground in the Sun”という副題のついたこのアルバムは、思わぬ名盤でした。Daniele Sepe(ダニエーレ・セーペ)の名前はNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)のアルバム『Stella 'e Matina』にフルートで参加していたので知っていましたが、どういう素性の人なのかは知りません。民族音楽系のアーティストなのかな。
このアルバムはラップ、ヒップ・ホップからトラッド、中世音楽まで、雑多なジャンルの音楽で構成されています。雑多ではあるのですが、それぞれの曲に生命の力強さを感じるあたりは、ある意味とてもナポリ的といえると思います。
南イタリアから地中海を渡ってギリシャ、アフリカあたりまでの音楽のエッセンスが混じりあっていて、地中海を中心とした幅広い地域の音楽を感じさせます。
ときにOpus Avantra(オパス・アヴァントラ)風、ときにAphrodite's Child(アフロディテス・チャイルド)風、ときにMauro Pagani(マウロ・パガーニ)風ともいえますが、基本はあくまでも大衆音楽、世俗音楽に属するものでしょう。身構えて聴く必要のない、すんなりと身体になじむ音楽です。
しかしそこには、「最近、はやっているから、ポップスに民族音楽のエッセンスを取り入れてみました」的な安易さはなく、アーティスティックな感性が強く感じられます。そういう点でこのアルバムは、いわゆるポップスではない、生真面目な音楽作品なのでしょう。とはいえ、そこから聞こえてくる音には、そういった妙なプライドの高さのようなものがないあたりが、非常に好ましいです。
たとえばFratelli d'Itano(フラテッリ・ディターノ)などが好きな人や、トラッド・ポップのファンなどが中心リスナーになるのでしょうが、一部のプログレ・ファン、たとえばFlairck(フレアーク)や、Julverne(ジュルヴェルヌ)の『Emballade』が好きな人なども楽しめるのではないでしょうか。
民族音楽風味が強いため、ライトなポップス・リスナーには向かないかもしれませんが、まぎれもなく「いい音楽」のひとつだと思います。日本で普通に生活しているなかでは、なかなか耳にする機会の少ないタイプのものでしょうが、こういった、心に対し素朴に投げかけられるような音楽は大事にしたいです。