DANIELE SEPE


VITE PERDITE (1994年)

   ダニエーレ・セーペ / ヴィーテ・ペルディーテ
    (PIRANHA CD-OIR1042 / ドイツ盤CD)



jacket photo   1: PROLOGO
  2: VITE PERDITE
  3: TEMPUS EST IOCUNDUM
  4: NU HOPPAR HAREN KROKA
  5: RAGGASTHAUSEN
  6: SOVIETICA VESUVIANITA'
  7: GIROLIMONI N.1
  8: ZELLE, ZEZE E ZEZZENELLE
  9: TARANTELLA DEL GARGANO
 10: LA MANU 'MPETTU
 11: SALTARELLO
 12: GIROLIMONI N.4
 13: CHAMORRO CHA CHA
 14: ZAMBA DEL CHE
 15: LUNITA TUCUMANA
 16: GIROLIMONI N.3
 17: AUCIELLO R'O MIO
 18: MISENI DUCTIA
 19: TEMA DI MADDALENA
 20: EPILOGO


feat. BISCA, 99 POSSE, 'E ZEZI...







 “Napoli's Underground in the Sun”という副題のついたこのアルバムは、思わぬ名盤でした。Daniele Sepe(ダニエーレ・セーペ)の名前はNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)のアルバム『Stella 'e Matina』にフルートで参加していたので知っていましたが、どういう素性の人なのかは知りません。民族音楽系のアーティストなのかな。

 このアルバムはラップ、ヒップ・ホップからトラッド、中世音楽まで、雑多なジャンルの音楽で構成されています。雑多ではあるのですが、それぞれの曲に生命の力強さを感じるあたりは、ある意味とてもナポリ的といえると思います。

 南イタリアから地中海を渡ってギリシャ、アフリカあたりまでの音楽のエッセンスが混じりあっていて、地中海を中心とした幅広い地域の音楽を感じさせます。
 ときにOpus Avantra(オパス・アヴァントラ)風、ときにAphrodite's Child(アフロディテス・チャイルド)風、ときにMauro Pagani(マウロ・パガーニ)風ともいえますが、基本はあくまでも大衆音楽、世俗音楽に属するものでしょう。身構えて聴く必要のない、すんなりと身体になじむ音楽です。

 しかしそこには、「最近、はやっているから、ポップスに民族音楽のエッセンスを取り入れてみました」的な安易さはなく、アーティスティックな感性が強く感じられます。そういう点でこのアルバムは、いわゆるポップスではない、生真面目な音楽作品なのでしょう。とはいえ、そこから聞こえてくる音には、そういった妙なプライドの高さのようなものがないあたりが、非常に好ましいです。

 たとえばFratelli d'Itano(フラテッリ・ディターノ)などが好きな人や、トラッド・ポップのファンなどが中心リスナーになるのでしょうが、一部のプログレ・ファン、たとえばFlairck(フレアーク)や、Julverne(ジュルヴェルヌ)の『Emballade』が好きな人なども楽しめるのではないでしょうか。

 民族音楽風味が強いため、ライトなポップス・リスナーには向かないかもしれませんが、まぎれもなく「いい音楽」のひとつだと思います。日本で普通に生活しているなかでは、なかなか耳にする機会の少ないタイプのものでしょうが、こういった、心に対し素朴に投げかけられるような音楽は大事にしたいです。

(1999.12.05)








Musica

Pensiero! -- la Stanza di MOA

(C)MOA

inserted by FC2 system