Parte I: IN FORMA DI VITA
Parte II: LA NUOVA STAGIONE
Parte III: VOLO NELLA NOTTE
Parte IV: RISVEGLIO
Parte V: DAL TEMPO VISSUTO
Parte VI: LA NATURA DENTRO
Parte VII: MEMORIA
Parte VIII: IL BUIO
エンツォ・カプアーノ(Enzo Capuano)はギターとシンセサイザー、唄を担当しています。もちろん彼のリーダー・アルバムなのですが、作品全体の印象を支配しているのは、各種の鍵盤楽器を担当しているマリオ・パンセーリ(Mario Panseri)でしょう。
というのは、ヴォーカリストのアルバムでありながら、ヴォーカル・パートがほとんどないんです。
それぞれの曲が「Parte I 〜 Parte VIII」となっているところを見ると、たぶんトータル・コンセプト・アルバムなのでしょう。アルバム・タイトルは「いままで書かれたことのない物語」というような意味でしょうか。
「生命のかたち」「新しい季節」「夜の飛翔」「目覚め」「生きている時間」「自然の中に」「記憶」「暗黒」というそれぞれの曲のタイトル(訳に自信はありません)からすると、人間の一生がテーマなのかもしれません。
アコースティック・ギターと各種キーボードを中心とした、繊細で透明感のある曲が展開されます。といっても明るくさわやかなものではなく、どことなく張り詰めた感のある、深く沈み込むような悲しさが根底に流れています。
アルバムの最初と最後で聴かれるヴォーカルも、重く、落ち着いた声で歌われます。ほんの少ししかないヴォーカル・パートですが、非常に印象的で、存在感があります。
このアルバムを評価し楽しめるのは、やはりプログレ・ファンの一部なのでしょう。非常に地味で、キャッチーなメロディやテクニカルな演奏などとは無縁ですが、心の奥底に忍び込むような、なんともいえないパワーを持った作品だと思います。
落ち着いた空気のなかで、自分の心を見つめながら聴くと、何かが見つかるのかもしれません。