1: ADDIO
2: TIEN A MEN
3: ROSE'
4: TERRA NERA
5: QUANTI MISTERI
6: FUJENTE
7: ANIMA E ORO
8: E VULEVO BENE A MARIA
9: ACQUA MIA
10: MALE CHE VA
11: VEDO MAGGIO
music and lyrics by ENZO GRAGNANIELLO
arranged by JOE AMORUSO
produced by WILLY DAVID
Enzo Gragnaniello: vocals, guitar
Lanfranco Fornari: drums
Mimi Ciaramella: drums
Walfredo Reyes: drums
Walfredo Reyes: drums
Vittorio Remino: bass
Rino Zurzolo: bass
Alphonso Johnson: bass
Gianngi Guarracino: guitar, back vocal
Michele Montefusco: guitar
Elia Rosa: sax
Peppe Sannino: percussions
Toni Cercola: percussions
Flavio Piscopo: percussions
Joe Amoruso: keyboards
Mia Martini: voice (special guest)
Enzo Gragnaniello(エンツォ・グラニャニエッロ)の最大にして最強の武器は、やはり強い個性を放つその声でしょう。少し高めのしわがれ声は、あまたいるイタリアンだみ声カンタウトーレのなかでも一際、異彩を放っています。歌詞の乗ったヴォーカルはもちろん、スキャットのみでも強烈な存在感をアピールします。
こういった個性の強さ、アクの強さは、最近のイタリアン・ポップスではあまり聴かれなくなってしまいました。
ナポリ出身のアーティストには個性の強い人が多いようですが、そのなかでもEnzoはとびきりといえます。Nino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)のような典型的ナポリターナよりは、はるかに現代的なメロディやアレンジ、曲構成を持っている彼の音楽は、時には前衛的であったり、逆に非常にトラディショナルだったりしますが、どんなときでも常に南イタリアの強い陽射しが感じられます。
1999年のサンレモ音楽祭参加曲「Alberi」を収録したアルバム『Oltre gli alberi』では、いぶし銀的な、かなり渋い唄を聴かせた彼ですが、このアルバムではもっとポップです。
イギリスのSoft Cell(ソフト・セル)を思わせるふやけたキーボードや、ファンキーなブラスのアレンジもあり、なんでもありな雑多な感じはDaniele Sepe(ダニエーレ・セーペ)などとおなじ血を感じます(あそこまで濃ゆくはありませんが)。
しかし、Enzoの良さ、というかナポリ・ポップのよさを強く感じるのは、ガット・ギターを導入し、南欧のジプシー音楽風なエキゾティシズムを持った曲でしょう。
素朴ななかに生命の輝きを強く放つ彼の唄声からは、海辺で日光浴する人々、狭い路地の石畳を細く照らす太陽の光と影、そしてそこに暮らす人々の喧騒が、鮮烈なイメージとして浮かび上がります。こういった感覚は、ナポリのカンタウトーレならではといえるでしょう。
ちなみに「Rose'」という曲にはMia Martini(ミア・マルティーニ)がゲストで参加し、こちらも存在感バッチリの唄声を聴かせています。