produzione artistica: Enzo Gragnaniello
arrangiamenti: Nuccio Tortora
chalumeau: Riccardo Veno
oud: Gino Evangelista
bonghetti: Tony Cercola
chaxis e tamburi ad acqua: Cicco Merolla
chitarra: Michele Montefusco, Enzo Gragnaniello, Gino Evangelista
basso: Dario Franco, Nan Adrian
bouzouki: Michele Montefusco
clarinetto: Laurenty Dinca
louneddas flauto: Gino Evangelista
sax: Riccardo Veno, James Senese
tin whistle: Riccardo Veno
fisarmonica: Ionut Gugulan, Sasa' Mendoza, Nuccio Tortora, Castel Ciortan
tastiere: Nuccio Tortora
programmazione: Nuccio Tortora
percussioni: Ciccio Merolla
batteria: Salvio Vassallo
violino: M.Signore
archi: M.Signore Strings Ensembre
個性的な歌声を持つEnzo Gragnaniello(エンツォ・グラニャニエッロ)はナポリ出身のヴェテラン・カンタウトーレ。自身のアルバムも多くありますが、ナポリ周辺のアーティストのアルバムへのゲスト参加も多く、活動自体も彼の声と同様にユニークです。
ナポリのカンタウトーレというと、Pino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)などの少しジャジーなタイプや、Nino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)やGigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)などのナポレターナを基本にしたポップなタイプというのが多いと思うのですが、Enzoはそのどちらにも属しません。もちろんナポレターナなども歌うのだけれど、Indaco(インダコ)への参加などにも見られるように、彼の感性はよりプログレッシヴです。Daniele Sepe(ダニエーレ・セーペ)などと同様、ナポリという地域に押し込められない、地中海的な広がりのある音楽性を持っています。
このアルバムには、そういったEnzoの、地中海音楽アーティストらしい「なんでもあり」的な要素がうかがえます。基本はナポリに根ざした哀愁の歌ですが、それが広く南イタリア、南ヨーロッパ的な哀愁へと広がります。かと思うと、曲によってはパンフルートが入ってフォルクローレ風になったり、日本の琴のような楽器の音色が聞こえる曲もあります。また、ラップもあります。
このように曲調にいくつかの変化をつけてはいますが、どのような曲でもEnzoの個性の強いヴォーカルが乗るだけで「Enzoの曲」になります。うなるような渋いだみ声で、日本の演歌とか漁師歌に似合いそうなヴォーカルが、強烈な求心力を持っているからでしょう。
アルバムによって、完全なナポレターナだったり、実験的なポップスだったり、南伊カンタウトーレ風だったりと、ちょっと性格が違うため、はじめて聴くアルバムをどれにするかで印象が違ってしまう感じがするEnzoですが、曲のスタイルは違ってもEnzoのヴォーカルは変わりません。1度、彼の歌声の魅力にひきつけられてしまえば、それ以降はどんな曲を歌っても「Enzoの曲だ」と思えるようになってしまいます。
こういった、個性の強い歌声を持ったカンタウトーレって、自分は大好きなんです。日本ではあまり(ぜんぜん?)人気がない感じですが、非常にイタリアらしいカンタウトーレだと思います。