ENRICO NASCIMBENI


AMORI DISORDINATI (2002年)

   エンリコ・ナシンベーニ / アモーリ・ディスオルディナーティ
    (D'AUTORE / AZURRA MUSIC: DA1001 / イタリア盤CD)



    jacket photo
  1. LA LUNA E I FALO'
  2. CIAO CHAPACHAS
  3. AMORE DISORDINATO
  4. LA CANZONE CHE UN GIORNO SENTIRAI
  5. C'E' UNA CANZONE CHE FA'
  6. LA CASA DOVE NON VIVE NESSUNO
  7. INIZIA UN ALTRO VIAGGIO
  8. SARA' PER TE
  9. EUGENIO
  10. LENTAMENTE, INEVITABILMENTE
  11. L'ULTIMA NOTTE DI UN VECCHIO SPORCACCIONE


direzione artistica, arrangiamenti, programazzione ProTools di FABIO MORETTI
produzione esecutiva di FRANCESCA VECCHIONI








 ちょっと印象的なアコースティック・ギターのイントロを持った「La luna e i falo'」で始まるEnrico Nascimbeni(エンリコ・ナシンベーニ)のアルバム。スッキリとした音色の近代的なポップスに好感が持てます。さわやかななかにほんのりとした哀愁があり、やわらかな明るさも感じます。

 続くM2「Ciao chapachas」ではガット・ギターとアコーディオンが導入され、ヨーロッパらしい哀愁がより強調されますが、現代的なはっきりした輪郭は失われません。

 収録されている曲はどれも、なんということのない曲ばかりなのですが、なんとなく「よい感じ」に聴こえるのは、ほどよく深みとやさしさのある少しひび割れたEnricoの声のせいでもあるのでしょう。それに、こじんまりとはしているものの、どこか人懐こくて好感の持てるメロディやフレーズが多いこともあるでしょう。アレンジも、派手ではないけれど清涼感や哀愁、軽やかさといったものがバランスよく配されていて、陰影の濃いイタリアの街並みを思い起こさせます。

 M4「La canzone che un giorno sentirai」はストリングスを導入したバラードですが、語り風のヴォーカルがいかにもカンタウトーレといった感じです。もっとドラマティックに構成・展開してもよかったように思いますが、そうしないところが1970年代や80年代との違いなのでしょう。

 一方、M7「Inizia un altro viaggio」はディストーション・ギターによるロックっぽいイントロで曲が始まりますが、こういったアプローチはあまりEnricoのよさを出せないような気がします。ヴォーカル・パートになるとアコースティック・ロック風になるのですが、それが余計にイントロ、ソロ、エンディングのエレキ・パートを取ってつけたような感じに思わせ、軽薄っぽいというか、安っぽい印象を与えてしまいます。

 M8「Sara' per te」はM4とは少し違った感じの、夕暮れ時を思わせるようなロマンティックなバラード。ここでもガット・ギターのやわらかな音色がやさしい空気を醸し出しています。どことなくRenato Zero(レナート・ゼロ)の「Il cielo」を思い出させるようなメロディに、木管楽器をシミュレートした(?)シンセサイザーのカウンターメロディが哀愁を漂わせます。

 アルバムにはポップな曲、リズミックな曲、スローな曲といろいろありますが、どの曲にもやさしさと暖かさを感じます。派手なところはありませんが、好感の持てるアルバムだと思います。

 なお、M3「Amore disordinato」ではFrancesco Baccini(フランチェスコ・バッチーニ)が曲づくりに協力し、ヴォーカルでも参加しています。M11「L'ultima notte di un vecchio sporcaccione」ではRoberto Vecchioni(ロベルト・ヴェッキオーニ)がヴォーカルで参加しています。

 またM6「La casa dove non vive nessuno」はTom Waits(トム・ウェイツ)の曲にEnricoがイタリア語の歌詞をつけたものだそうです。

(2003.03.02)







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