Franco Battiato: arrangiamenti, voce, chitarre, tastiere
Francesco Cattini: produzione esecutiva
Carlo Guaitoli: pianoforte
Pino Pinaxa Pischetola: ritmiche computerizzate
Paolo Valli: batteria
Alice: voce
Daniela Bruera: soprano
Nuovo Quartetto Italiano, Gabriele Comeglio Band
Franco Battiato(フランコ・バッティアート)って、そんなに好きというわけではないのだけど、意外とうちにCDがたくさんあるのは、中古で安く売っていることが多いからなのだろうな。このアルバムも中古で600円くらいで買ったような気がする。
『Fleurs 3』はFrancoによるカバー作品集のシリーズで、「3」というくらいだから前作もあるのだけど、なぜかシリーズ前作は『Fleurs』。そう、『Fleurs 2』というアルバムはどうやらないようなんですよねぇ。なぜなんだろう?
シリーズ前作は聴いていない(よな、たしか。と思って手持ちCDを調べると持ってたりすることがよくある今日この頃)のですが、多分このアルバムとそんなに変わらないのだろうな。カバー集なので、他のアーティストの曲ばかりが収録されてます。Franco作はM11「Come un sigillo」のみ。ちなみにこの曲にはAlice(アリーチェ)が参加してます。
というわけでほんとにカバー集なのだけど、どれもがFrancoの世界にきちんと翻訳されてる感じがするのは、オーケストレーションやキーボードのアレンジがいかにもFrancoらしいからなのでしょう。またFrancoのヴォーカルって、決してうまくないし声量もないのだけど、独特の声質と歌い方を持っているので、彼が歌うと「Francoの歌」に聞こえるという要素も強いな。
M1「Perduoto amore」やM3「Se mai」などは厚みのある、華やかなのだけどクールに抑えた感じのオーケストレーションがいかにもFrancoぽいです。エレ・ポップ期のFrancoはちょっと苦手な自分ですが、厚いオーケストレーションを大きく配置するようになってからの作品は、ちょっと心ひかれてしまうんだよなぁ。その流れの上にある作品ですね。
ただ、そのゴージャスさがM4「Ritornerai」などの素朴な感じの曲ではちょっと曲を殺しちゃっているというか、大仰なパーティに思わず私服で出かけてしまって萎縮しているような、そんな印象も受けてしまいました。その点、M7「In cielo in una stanza」のほうが、曲の素朴さとアレンジのつくりこみ具合のバランスが取れているかな。
プログレッシヴ・ロック・ファンにとってはやはり、Premiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)の名曲「Impressioni di settembre」が収録されていることが気にかかるでしょう。でも、これは意外と普通な出来かもしれない。もともと歌メロ自体はとてもシンプルで構成もとくに凝ったところがない曲ですから、普通に演奏されたら普通な曲になってしまいますわね。Francoの頼りなげなヴォーカルとおだやかなオーケストレーションは美しく響きますけれど、単純な曲にダイナミズムを与えたPFMの演奏のほうがやはり聴いてて心震えるなぁと思います。
などということはありますが、全体にはおだやかで、少しロマンティックで、だけどところどころに変なアレンジがあって、ただきれいでロマンティックなだけでは終わらいというFranco作品らしい仕上がりになっていると思います。