FABIO CELI E GLI INFERMIERI


FOLLIA (1973年)

   ファビオ・チェリ・エ・リ・インフェルミエリ / フォッリァ
    (MELLOW RECORDS MMP 255 / イタリア盤CD)



celi1   1: L'ARTISTA SADICO
  2: FOLLIA
  3: IL CAPESTRO
  4: IL PRESIDENTE
  5: UOMO COSA FAI
  6: VIA GAETANO ARGENTO -bonus track-
  7: FERMI TUTTI E UNA RAPINA -bonus track-
  8: DISTRUZIONE







 マーキーの『イタリアン・ロック集成』ではずいぶん誉められているアルバムだけど、どうなんでしょうね?
 SOLISTS の項に紹介されているので、いわゆるカンタウトーレの作品かと思ったら、扱い的にはバンドのアルバムみたい。それに、ファビオ・チェリ自身は曲は作らないようだ。というか、バンドのメンバーはぜんぜん曲作りに関わってない。
 なんか、企画ものなのか?

 1973年という発表年を聞けば納得の音とアレンジ。オルガンをメインにした、あの時代のプログレ風ロックが展開される。

 力強いヴォーカルはイタリア的でまずまずなのだけど、メインとなってるキーボードがあまり上手でなく、リズムの乱れとかがとても気になる。アルペジオで音符がばらついてるのって、すごく気持ちが悪い。

 こういう、全体の構成力とかアレンジで聴かせるタイプのアルバム(だと思う。コンセプト・アルバムのようだし)で、演奏テクニックが追いついていないっていうのは、それほど珍しくない。たとえばラッテ・エ・ミエーレ(Latte e Miele)の1st『受難劇(Passio Secundum Mattheum)』なんて、技術的にはかなり怪しい。
 でも、『受難劇』にはそれを凌駕するというか、ぜんぜん気にさせないだけのテーマや構成、それを実現しようとする意志の力といったものが感じられた。
 ファビオ・チェリのこのアルバムには、そこまでのものは感じられない。

 一部ロック・オペラ的な雰囲気を漂わせながら、力のこもった唄と演奏が続く。決して悪くはないんだけど、それほど世界に入り込めない。

 ポップス・ファン向けではないし、プログレ初心者向けでもない。ある程度イタリアン・ポップス/ロックを聴き続けてきた人、いにしえのオルガン・ロックを愛せる人ならそれなりに楽しめるとは思う。
 自分はどうかというと、嫌いじゃぁないんだけど、それほど好きにもなれないかな。

 こういうタイプの音楽って、むずかしい。誰にすすめればいいのか、よくわからない。基本的にはプログレ・ファン向けなのだろう(だから Mellow が再発したのだろう)けれど、これを大喜びするプログレ・ファンって、それほどいないんじゃないだろうか。
 あくまでもマニア向け商品ということか。

(1998.03.15)








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