1: L'ARTISTA SADICO
2: FOLLIA
3: IL CAPESTRO
4: IL PRESIDENTE
5: UOMO COSA FAI
6: VIA GAETANO ARGENTO -bonus track-
7: FERMI TUTTI E UNA RAPINA -bonus track-
8: DISTRUZIONE
マーキーの『イタリアン・ロック集成』ではずいぶん誉められているアルバムだけど、どうなんでしょうね?
SOLISTS の項に紹介されているので、いわゆるカンタウトーレの作品かと思ったら、扱い的にはバンドのアルバムみたい。それに、ファビオ・チェリ自身は曲は作らないようだ。というか、バンドのメンバーはぜんぜん曲作りに関わってない。
なんか、企画ものなのか?
1973年という発表年を聞けば納得の音とアレンジ。オルガンをメインにした、あの時代のプログレ風ロックが展開される。
力強いヴォーカルはイタリア的でまずまずなのだけど、メインとなってるキーボードがあまり上手でなく、リズムの乱れとかがとても気になる。アルペジオで音符がばらついてるのって、すごく気持ちが悪い。
こういう、全体の構成力とかアレンジで聴かせるタイプのアルバム(だと思う。コンセプト・アルバムのようだし)で、演奏テクニックが追いついていないっていうのは、それほど珍しくない。たとえばラッテ・エ・ミエーレ(Latte e Miele)の1st『受難劇(Passio Secundum Mattheum)』なんて、技術的にはかなり怪しい。
でも、『受難劇』にはそれを凌駕するというか、ぜんぜん気にさせないだけのテーマや構成、それを実現しようとする意志の力といったものが感じられた。
ファビオ・チェリのこのアルバムには、そこまでのものは感じられない。
一部ロック・オペラ的な雰囲気を漂わせながら、力のこもった唄と演奏が続く。決して悪くはないんだけど、それほど世界に入り込めない。
ポップス・ファン向けではないし、プログレ初心者向けでもない。ある程度イタリアン・ポップス/ロックを聴き続けてきた人、いにしえのオルガン・ロックを愛せる人ならそれなりに楽しめるとは思う。
自分はどうかというと、嫌いじゃぁないんだけど、それほど好きにもなれないかな。
こういうタイプの音楽って、むずかしい。誰にすすめればいいのか、よくわからない。基本的にはプログレ・ファン向けなのだろう(だから Mellow が再発したのだろう)けれど、これを大喜びするプログレ・ファンって、それほどいないんじゃないだろうか。
あくまでもマニア向け商品ということか。