FABRIZIO MORO


FABRIZIO MORO (2000年)

   ファブリツィオ・モーロ
    (WIN WITH WIT / BMG RICORDI 74321745712 / イタリア盤CD)



jacket photo   1: PER TUTTA UN'ALTRA DESTINAZIONE
  2: ROMANTICA (SE TI VA)
  3: SITUAZIONI DELLA VITA
  4: GLI AMPLESSI DI MARTA
  5: CANZONE DI CAMPANE
  6: UN GIORNO SENZA FINE
  7: BRAVA
  8: 9096 RO.LA
  9: STANCO DI CRESCERE
 10: CLAUDIA
 11: CANZONE GIUSTA


produzione artistica e arrangiamento: Massimo Luca
produzione esecutiva: Pier Paolo Palumbo

batteria: Roberto Pagano
basso: Francesco Puglisi
chitarre: Massimo Luca
programmazione, tasitiere e orchestrazone archi: Enrico Solazzo, Umberto Iervolino
cori in "Canzone giusta": Matteo e Silvia Pagano







 2000年のサンレモ音楽祭新人部門に出場したFabrizio Moro(ファブリツィオ・モーロ)のデヴュー・アルバム。
 アコースティックなギターとオーケストレーションをメインにしたこのアルバムは、最近の若いシンガーたちの作品とは違った、1970年代後半から80年代にかけてリリースされた作品のような色合いが感じられるアルバムです。

 タイプとしてはバラード系アコースティック・ロックとでもいえばいいのでしょうか。最近の若手や新人などに多く聴かれる強いイギリス指向はここにはなく、70年代のカンタウトーレたちが持っていたイタリアらしい美しさとセンチメンタリズムが中心となった、それでいて古臭くない、ポップなイタリアン・カンタウトーレ作品だと思います。

 サンレモ参加曲のM6「Un giorno senza fine」もおだやかなオーケストレーションとひび割れた声が印象的な曲でしたが、あの曲のイメージがそのままアルバム全体に広がっています。その点で、アルバムとして聴いたときに多少、バリエーションやドラマ性が弱いかなという感じもしますが、叙情派カンタウトーレが好きな人ならそれも含めて、イタリアの哀愁にひたれる作品として愛せるでしょう。
 たとえば、Sandro Giacobbe(サンドロ・ジャコッベ)が好きな人などは、心に染みるところがあるかもしれません(Sandroのような弱々しさはありませんが)。

 それ以上に、ノドになにか詰まったようなちょっと苦しげなしわがれ声と、切なさを感じさせるメロディは、Roberto Soffici(ロベルト・ソッフィーチ)に似ているように思います。Robertoの古いオリジナル録音は聴いたことがないのですが、1996年にD.V.MOREレコードからリリースされた新録によるベスト盤には、非常に似た匂いを感じます。
 もう少し曲想の幅が広がり、1曲のなかでの展開力を持てば、なかなかいいカンタウトーレになりそうです。

 最近の英米指向が強いイタリアン・ポップスやビートの効いたもの、ダンサブルなものなどが好きな人にはアピール度が低いでしょうが、自分はとても気に入っていますし、今後に期待したいカンタウトーレです。春・夏よりは秋・冬に聴きたいアルバムです。

(2000.08.13)








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