produzione: Leonetto Vignali e Franceso Nuti
produzione artistica e arrangiamento: Riccardo Galardini
Riccardo Galardini: chitarre, liuto, mandola, laud, piattini, voce, kazoo
Andrea Benassai: coarrangiatore fiati e ritmica, piano, organo Hammond, programmazioni computer
Vladimiro Martini: tromba
Rodlfo Sarli: trombone, basso tuba
Klaus Lessmann: sax, clarinetto
Ugo Galasso: bombarda, flauto
Maurizio Picchio': percussioni, bendir, riqq, tamburello, bacchere e ghironda
Carlotta Vettori: flauto, ottavino
Giovanni Nuti: chitarre, voce
Francesco Furlanich: fagotto, fisarmonica
cori: Carlotta Vettori, Margherita Nuti, Roberto Galardini, Marcello Becattini, ietro Tossani, Giancrlo Tulli
Francesuco Nuti(フランチェスコ・ヌーティ)、1955年5月17日トスカーナ州プラト(Prato)生まれ、だそうです。自分はこの人のことをぜんぜん知らないのですが、彼はシンガー/カンタウトーレというよりは、俳優、脚本家、監督として映画の世界で有名らしいです。これまでに20本近い出演作・10本以上の脚本・監督作があり、現時点での最新の出演作は2005年の『Concorso di colpa』だそうですが、やっぱり自分は知りません。
このアルバムは、これまでに彼が出演した映画の挿入歌を中心に新曲をいくつか混ぜ込んだもののようで、最新の曲は2006年、いちばん古い曲は1982年のものとなっています。24年もの隔たりがあるわけで、声の感じもまったく違い、最初はおじいちゃんと若者のふたりのシンガーがいるのかと思いました。
おじいちゃん声の新曲は、フォークをベースに、ジャズっぽいアレンジなどで軽やかさを加えたり、ボサノバ風やトラッド風の味付けをしたり、といった感じ。ただ、演奏をどのようにしても、おじいちゃん声のヴォーカルが泥臭いフォークのような雰囲気をかもし出してしまいます。
一方、若かりしころの曲は、年代的なこともあってか、どれもオールド・スタイルなポップスというか、歌謡曲的。Gianni Morandi(ジァンニ・モランディ)とかが歌ってもよさそうです。
M2「Giulia」は1988年の曲で、アコースティック・ギターの響きが美しく、ちょっとナポリ風な感じがしたり、どことなくLucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)を思い出したり。サキソフォンも入り、おだやかなロマンティシズムとさわやかな空気を感じます。
M4「Santo Domingo」も1988年の曲で、アコースティック・ギターの弾き語りによる古いスタイルのイタリアン・バラード。そのむかしナポリなどにいたという「歌い屋」(若い男性に頼まれて、彼の恋する女性の部屋の窓に向かい、路上から、彼の想いをのせた歌を、彼の代わりに歌ってあげる、という商売)の姿がほのかに思い浮かびました。
M5「Batte la spola」は2006年の曲で、イントロで聴かれるアコースティック・ギターとバグパイプのような管楽器?の響きが地中海音楽やトラッドを思わせます。
M7「Sara' per te」は1988年の曲で、イタリアらしいメロディアスなポップス。キーボードのオーケストレーションも入り、歌メロにはRenato Zeroの「Il cielo」を思わせるような部分もあったりして、さわやかでやわらかな哀愁を感じます。
M9「Se hai vista camminare」は1998年の曲で、オーケストラとサキソフォンの響きがロマンティックな、地味だけど味わいのあるバラード。中間部ではリズムやコーラスも入り、イタリアン・ポップスらしい美しい楽しさもあります。
収録されている曲は、Francesco自身が書いているものと、おそらく彼の息子だと思われるGiovanni Nuti(ジォヴァンニ・ヌーティ)が書いているものがほとんどなのですが、それでも、さまざまな映画の挿入歌の寄せ集めであること、作曲・録音年代も幅広くばらばらであることなどから、アルバムとしての統一感や求心力に欠けます。でも、上に記したような曲など、いくつかは自分の好みに合うものもあったので、まぁこれはこれでいいでしょう。