FLAVIO OREGLIO


SIAMO UNA MASSA DI IGNORANTI. PARLIAMONE (2006年)

   フラヴィオ・オレッリォ / シァモ・ウナ・マッサ・ディ・イニョランティ・パルリアモネ
    (CATARTICA / EDEL: CAT102 / イタリア盤?CD)



jacket photo
  1. CREDITS
  2. FACCE
  3. QUANDO MUORE UN'IDEA
  4. SIAMO UNA MASSA D'IGNORANTI. PARLIAMONTE
  5. UNA VITA CONTROMANO
  6. INTERMEZZO: FIESTA
  7. TANGO DEL NULLA
  8. INTERMEZZO: MADRIG - ALE
  9. LA CANZONE DELLA FRATELLANZA
  10. NEL MIO MONDO
  11. IL PENSIERO


Lorenzeo Arco: chitarre, buzuki, ukulele, charango, dobro, tastiere
Stefano Covri: chitarre
Andrea Vandoni: violino
Fabio Balestrieri: chitarre
Vladi Tosetto: tastiere, pianoforte
Giacomo Lelli: flauto traverso
Marino Bonino: contrabbasso
Mirco De Grandis: basso
Alessandro Dreglio: flauto traverso

Walter Calloni: batterie
Clive Bunker: batteria
Fabio Treves: armoniche
Miles Bould: percussioni
Neil Black: sezioni archi e arrangiamento archi
Vladi Tosetto, Giorgia Sallustio, Damiano Ruggeri, Stefano Bozzetti: cori

Arrangiamenti: Fabio Balestreri








なんだか不思議なアルバムです。1958年8月にミラノ近郊ペスキエラ・ボッロメオ(Peschiera Borromeo)で生まれたFlavio Oreglio(フラヴィオ・オレッリォ)は、1985年ころからミラノのパブやキャバレー(そのなかには「La Corte dei Miracoli」という名前の店も!)で歌い始め、1987年に『Melodie & Parodie ovvero: pensieri di un rivoluzionario moderato』でアルバム・デビューします。この『Siamo una massa di ignoranti. parliamone』は6枚目のアルバムになるようです。

さて、このアルバム。なんなのでしょう。基本的にはフォーク・ロック風なんだと思います。ヴォーカル・スタイルは昔の歌手っぽく、低いけど声量があり、きちんと楽譜にそって歌っているような感じ。妙に存在感があります。この時点でフォーク・ロック風な曲とヴォーカル・スタイルにミスマッチ感があるのですが、さらにそこにはさまざまな音楽風味が付け加えられ、いっそう摩訶不思議な感じを受けます。

M1「Credits」、M2「Facce」はフィドルやバンジョーなどが軽快に鳴り響き、カントリー・フレイバー満載です。こういった曲調とFlavioの歌い方は合っていると思います。だけどイントロやアウトロなどに、たとえばヴァイオリンとフルート、ギター、リズム・セクションがユニゾンで演奏したりして、なぜか妙にプログレっぽい雰囲気があったりするのです。

M3「Quando muore un’idea」も似たような感じですが、そこにオルガンがコードを白玉で鳴らし、エレキ・ギターの音が入って、昔のロック風になってきます。さらにはブルージーなハーモニカも入ります。

M4「Siamo una massa d’ignoranti. Parliamone」ではアコースティック・ギターのアルペジオが透明でファンタジックな世界を描き出します。フルートとオーケストラも入り、プログレッシヴ・ロックの粉がほんのりまぶされたような幻想フォークといった印象になります。こんな感じ、誰かに似てるんだけど、誰だったろう。初期のころのSupertramp(スーパートランプ)とかかなぁ。演奏はもんやりと幻想的なのだけど、Flavioの低くて粘りがあって、しかもオールド・スタイルなヴォーカルは妙に現実的で、このミスマッチ感がいいような、悪いような。

M5「Una vita contromano」もM2などと同様に、イントロなどにフルートとヴァイオリンのユニゾンが入り、妙にプログレッシヴ・ロックの雰囲気があります。ヴォーカル・パートに入ると、オルガンの音やアレンジに1960年代後半から70年代くらいのハード・ロックの香りが見え隠れします。

M6「Intermezzo: fiesta」とM8「Intermezzo: Madrig - Ale」は短いインスト曲。

M7「Tango del nulla」はそのタイトルからもなんとなくイメージできますが、トラッドとラテンに古いサロン風のダンス・ミュージックがまじったような、なんとも不思議な雰囲気を持った曲。ミディアム・スローの曲にのって情熱的に踊るロング・スカートの魅惑的な女性(ラテン系)の姿が思い浮かびました。ちょっとPiccola Orchestra Avion Travel(ピッコラ・オルケストラ・アヴィオン・トラヴェル)などに通じるところもあるかもしれません。

ここまででもかなりさまざまな要素を持ち、とらえどころのない音楽性を披露してくれているFlavioですが、このアルバムの最大の聴きどころはM11の「Il pensiero」でしょう。地中海の輝きを思わせるようなアコースティック・ギターの響き。そこに入ってくる厚みのあるキーボードの音色。これ、思いっきりPremiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)風だと思うのですが。それも、初期のころの。明るさと幻想が入り混じったような曲調で、思わず「なんだこりゃぁ!」と叫んでしまいそうです。だけどそこにのるのはFlavioの妙に声がいい古くさおっさんヴォーカルで、このミスマッチ感、アンバランス感に、どのように対応したらいいのでしょう。

ブルースやカントリーといった要素にほんのりとプログレッシヴな幻想風味のパウダーを振り掛けたようなフォーク・ロック(妙に声のいいオールド・スタイルなヴォーカル入り)といったこの作品。イタリアのJethro Tull(ジェスロ・タル)ファン・クラブに謝辞が捧げられていたりして、プログレッシヴ・ロックを意識していることは明らか。と思ったら、ゲストでドラムを叩いているClive Bunker(クライヴ・バンカー)ってJethro Tullの人じゃないですか。さらにはArea(アレア)やPFMでも演奏しているWalter Calloni(ワルテル・カッローニ)もゲスト・ドラマーとして参加してます。パーカッションのMiles Bould(マイルス・ボールド)という人はSting(スティング)やJamiroquai(ジャミロクアイ)のアルバムに参加している人だそうですし、オーケストラ・セクションのアレンジを担当したNeil Black(ニール・ブラック)はSoft Machine(ソフト・マシーン)の人だって! さらには裏ジャケットにはKeith Emerson(キース・エマーソン)からのコメントも入っていたりします。

なお、自分が手に入れたのはCDのみのものですが、それとは別に「本(Liblo)」がついたヴァージョンもあるようです。その本に何が書かれてるのかは知りませんが、たぶん、歌詞とかだろうな。CDに入っていたブックレットには歌詞が書かれていないので。

(2007.12.16)







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