produced by Carsten Heusmann, Jan-Eric Kohrs and Michael Soltay
female vocals: Hepsibah
guitars: Peter Weihe, Gunther Laudahn
keyboards: Jan-Eric Kohrs,Carsten Heusmann, Michael Soltay, Gunther Laudahn
flute: Jurgen Franz
strings arranged and conducted by Stefan Pintev
グレゴリアン・チャントの唱法でポップスを歌うというコンセプトのグループ。バックの演奏はエレクトリック・ポップ風で、ほどよい華やかさと美しさをもっています。こういった演奏スタイルやアイデアって、最近のフランスならではなのかもしれません。
このアルバムは彼らの3枚目で、これまでのアルバムからのベスト選曲になっているようです。歌われているのはDuran Duran(デュラン・デュラン)の「Ordinary World」などのように有名な曲のカヴァーが中心で、オリジナル曲を歌うグループではないようです。そういう意味では、かなり「企画もの」的なニュアンスが強そうです。
一時のグレゴリアン・チャント・ブーム(?)は落ち着きを見せていますが、あの歌声に魅せられた人は多いでしょう。それをポップスに応用し、宗教歌やクラシックのファン以外にもっとアピールしようというアイデアは、かなりいいと思います。実際、このグループの紹介を聞いたとき、合唱ポップス/合唱ロック・ファンの自分としては、かなりひかれました。でも、実際に聴いてみると、たしかによい要素をたくさん感じるのですが、意外とメリハリがなくて、それほどのめり込めないんです。
全体を通してずっとグレゴリアン唱法で歌われていること、アレンジや曲のタイプも全体に同じようなものが続くこと、それゆえ、1曲聴く分にはドラマティックかなと思うのですが、アルバムを聴き続けているうちに、だんだんと飽きてきてしまいます。部分部分ではWiliam Sheller(ウィリアム・シェラー)の『Lux Aeterna』ばりの深遠さを見せるのですが、全体を聴いていると薄い。どこか「スタイル先行」のような、グレゴリアン唱法を使う意味といったものが希薄のような、そんな印象を受けます。
やはりポップ・ミュージックのなかで使うのであれば、その意図するものを明確にして、使うべきところで使うべきときに使うほうが、少なくとも自分にとっては感動を得られるようです。全体をグレゴリアン唱法にするなら、宗教歌のグレゴリアン・チャントそのものを聴いたほうがいいなと思いました。
作品としての質は決して悪いわけではなく、ヒーリング系ポップス、ニューエイジ・ミュージックとして存分に楽しめる内容だと思います。