MONA LISA


AVANT QU'IL NE SOIT TROP TARD (1978年)

   モナ・リザ / 限界世界
    (NEXUS / KING RECORD: KICP 2809 / 日本盤CD)



jacket photo
  1. AVANT QU'IL NE SOIT TROP TARD
      限界世界
  2. LA PESTE
      ペスト
  3. SOUVENIRS DE NAUFRAGEURS
      難船略奪者の記憶
  4. TRIPOT
      庭球場
  5. LENA
      レナ
  6. CREATURE SUR LA STEPPE
      大草原の上の生物
       (a) COMME DANS UN REVE
         夢の中で
       (b) L'OPPRESSION
         圧制
       (c) AVEC LE VENT
         風とともに

    * bonus track *

  7. SOUVENIRS DE NAUFRAGEURS (live)
  8. CREATURE SUR LA STEPPE (live)
  9. LENA (live)


Pascal Jardon: guitars, synthesizer
Francis Poulet: drums, percussion
Jean-Luc Martin: bass
Jean-Paul Pierson: organ, piano, synthesyzer, polyphonic orchestra, mellotron
Dominique Le Guennec: lead vocals, flute, percussion








Mona Lisa(モナ・リザ)はAnge(アンジュ)と並ぶフレンチ・シアトリカル・ロックのトップ・バンドといわれてますが、Angeとくらべると、ちょっと小粒な感じは否めません。ヴォーカルのシアトリカルさ加減はAngeに肉薄、ときには超えるかというところもありますが、演奏にそこはかとないチープ感、スカスカ感が漂っていて、厚みと奥行きのあるAngeの演奏には追いつかないよなと感じてしまいます。

とはいえ、このチープ感、スカスカ感は、けっして悪い感じではないんです。この感じがあるために、Angeとは違った、安い芝居小屋やサーカス小屋、あるいは街角楽師のような、独特の哀愁を漂わせることができるのだと思います。曲も、きちんと構成された印象のあるAngeとは違い、ある意味で行き当たりばったりというか、そこでなんでそんなコミカルなフレーズに?みたいなところがあって、そういう点でも「世俗の楽しみ」に近い感じを受けます。このあたりの「世俗っぽさ」がMona Lisaの魅力のひとつといえるかもしれません。

このアルバムはMona Lisaの4作目で、前作の『Le Petit Violin de Mr.Gregoire』と並んで彼らの名作と呼ばれています。そして実際、名盤の名に恥じない内容になっていると思います。ほとんど歌メロのない「語り」ヴォーカルが炸裂するアルバム・タイトル曲から、シアトリカルな世界へと一気に引き込んでいきます。フランス語の響きを最大限に活用したヴォーカルは圧巻で、それだけでもかなりの魅力ですが、そこに世俗な哀愁とふざけた感じ(?)の入り混じった演奏がかぶさることで、Mona Lisa独特の世界が構築されます。

アルバムのなかで独自の世界をつくりあげ、音楽を聴いているだけでその世界が目に見えるような錯覚を起こさせる。シアトリカル・ロックの醍醐味ですね。「舞台」ぽさを感じさせるという点では、Angeよりも上かもしれません。Chen Noir(シェン・ノワール)とかのほうが近いかも(こっちは完全に舞台音楽だったかもしれません)。

とても魅力的なアルバムだと思います。

(2004.12.25)







Musica

Pensiero! -- la Stanza di MOA

(C)MOA

inserted by FC2 system