consulenza artistica: Mogol - Claudia Mori
arrangiamenti: Fio Zanotti
batteria: Lele Melotti
percussioni: Lele Melotti
basso: Pier Michelatti, Cesare Chiodo
basso synth: Fio Zanotti
tastiere: Fio Zanotti
pianoforte: Fio Zanotti
fisarmonica: Fio Zanotti
programming: Fio Zanotti
scrittura archi: Fio Zanotti
chitarre: Giorgio Secco, Samuele Dessi
cori: Manu' Cortesi, Monica Magnani, Silvio Pozzoli
Gianni Bella(ジァンニ・ベッラ)くらいのヴェテランになると、よほど革新的な精神(スピリッツ)を持っている人でなければ、そうそう音楽性が変わることはありません。そこがファンにとっては一種の安心感にもなるのでしょうし、一方でもともと興味を持てない人には興味を持てないままなのでしょう。
Gianniのこのアルバムも、あいかわらずGianniらしいものといえるのでしょう。自分はそれほど多くGianniのアルバムを聴いたわけではありませんが、やわらかいメロディを持ったなじみやすいソフト・ポップスといった持ち味は、このアルバムにもよく出ていると思います。
と同時に、クリアなデジタル・サウンドが大きく聴こえるなど、若かりしころの甘いカンタウトーレとは少し違った最近の音楽になっていますし、ある程度の年齢を重ねたシンガーの歌になっているとも思います。アメリカっぽいニュアンスの強いものや、どことなくいなたい感じのする曲もあります。こういったところもGianniのファンには楽しめるでしょう。ヴェテランらしく、必要な水準は充分にクリアしているアルバムだと思います。
でも一方で、少なくとも自分にとっては、聴いていて、あるいは聴いたあとに、これといって感動がないのも事実です。アルバムを聴き終えても、心に残るものがあまりないのです。
もともと歌唱力や声量があるタイプのカンタウトーレではありませんが、加齢のためか、いっそう声にちからがなくなっている気がしますし、それを補ってあまりあるほどの表現力があるともいいにくいです。以前はその分をメロディのよさでカバーしていたようにも思うのですが、このアルバムで聴かれるメロディは、悪くはないのだけど、どこか平凡な感じです。
M1「Un airone」は、やさしく暖かい感じの曲が多いGianniにしてはちょっとめずらしく(?)、都会風のクールで少しシビアな感じがする曲です。
M2「Il profumo del mare」はこの年のサンレモ音楽祭参加曲。順位も12位とふるいませんでしたが、この年にリリースされたサンレモ音楽祭のコンピレーションCDにも収録されなかったという、ちょっとかわいそうな扱いをされている曲です。三連リズムの古い感じのバラードで、スロー・ソウル風のやわらかさがあります。
M3「Amami presto」では、アメリカのソウル・ポップスぽいいなたさと飄々とした感じが共存しています。「Ah!」とか「Oh!」とか「Hey!」といったブラックっぽい女性コーラスがふんだんに入ります。
M7「Una rosa sull'acqua」はデジタルなリズムを強調したミディアム・チューン。どことなくユーモラスなベースのメロディと軽いヴォーカルがよく合っています。
M8「Paso doble」ではアコーディオンのストロークが導入され、南欧っぽい哀愁を漂わせています。そういえばGianniはたしかシチリア生まれです。レゲエ風のリズムとチャカポコした打楽器が、ほの明るいしみじみ加減をうまく表現しています。
M9「Il sole di un abbraccio」と続くM10「Allarme rosso」はGianniらしいポップでやわらかいバラードです。
こうして全体を聴いてみると、とりたてて悪いところはないのだけど、突出してよいところも見つけにくい感じです。けっきょく、ふつうによいアルバムといったところでしょうか。