1: BUONGIORNO
2: LA SPADA NEL CUORE
3: IO CHE NON VIVO
4: GUAGLIUNCE'
5: DOVE SEI
6: PORTAMI CON TE
7: UN CUORE CE L'HAI
8: TUTT'A VITA CU TTE'
9: UNA MAGICA STORIA D'AMORE
10: PRIMMA 'E T'ADDURMI'
11: BUONANOTTE
prodotto da GEPPINO AFELTA e PIERLUIGI GERMINI
arrangimenti e direzione: GIGI D'ALESSIO
GIANNI CUCINIELLO: programmazione computer
LELE MELOTTI: batteria
PAOLO COSTA: basso
PEPPE SANNINO: percussioni
GIORGIO COCILOVO: chitarre
GIGI D'ALESSIO: piano acustico e tastiere
Gigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)は、もう10年くらいのキャリアがあるようで、アルバムも相当数リリースしているらしいのですが、残念ながら、古いアルバムはなかなか見つけられません。多分、地元ナポリではそれなりに知名度はあっても、イタリア全土的には、あまり聴かれていないのかもしれません。
でも、彼の唄は非常に「イタリアらしさ」を感じさせるもので、地元の有名人にだけしておくのは、とてももったいないと思います。
少しこもり気味の声をしたシンガーが多いナポリですが、Gigiの声にはこもったところがなく、ちょっと特徴的です。少し高めの丸いクリア・ヴォイスは非常に聴きやすく、魅力的に響きます。また、この声は、彼の持つ軽やかなポップ・センスにもマッチングがいいといえます。
ナポリというと自分は、Nino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)やEduardo De Crescenzo(エデュアルド・デ・クレッセンツォ)がまず浮かぶ(Pino Danieleではないあたりが、ちょっとマニアックかな)のですが、Gigiには、彼らとは違った魅力があると思います。というのは、Gigiはバラードよりも、明るいポップスのほうが似合うのではないかと感じるからです。
Nino D'Angeloの場合はやはり、彼のこもり気味の声で歌われる哀愁味たっぷりのバラードに強く心を動かされることが多いです。マイナーキーで歌われる、メロウでロマンティックな曲想が似合うカンタウトーレだといえるでしょう。
Eduardo De Crescenzoはもう少し都会的ですが、やはりロマンティックなバラードを歌うときに、彼のよさが強く感じられます。
しかしGigiは、ポップな曲を歌うときのほうが、メロウなバラードを歌うときよりも、哀愁を感じさせるように思うのです。
今回のアルバムにも、いかにもイタリア的な曲想を持ったバラードが数曲、収録されています。しかし、それらの「そのままイタリアの哀愁」な曲よりも、アルバム・タイトル曲の「Portami con Te」や「Un Cuore Ce l'Hai」などといった、軽やかで明るさを持った曲のほうが、かえって南イタリアを感じさせます。ところどころで聴かれるナポリなこぶし回しが、軽やかなメロディのなかに哀愁を運んでくるんです。
マイナーキーの哀愁ももちろん心に染みますが、メジャーキーのなかに感じられる哀愁が、彼の持ち味であり、魅力なのではないかと思います。
バックの演奏が田舎くさく、とくに鍵盤によるブラスやストリングスのアレンジ・センスのなさは、もう少しどうにかならないものかと思いますが、イタリアらしいメロディ、イタリアらしい音楽、そしてイタリアらしい唄を聴かせてくれるGigi D'Alessioを、日本でも多くの人が聴いてくれるといいなと思っています。