1: E VAI!!!
2: CARO BAMBINO GESU'
3: NON DIRGLI MAI
4: BELLISIMA
5: AMORE MIO
6: COME SUENA DE CORAZON
7: UNA NOTTE AL TELEFONO
8: DOMANI
9: SOLE CIELO E MARE
10: QUANDO LA MIA VITA CAMBIERA'
11: BELLA CANZONA MIA
un orogetto di GIGI D'ALESSIO
con ANTONI ANNONA, ADRIANO PENNINO e LINO CANNAVACCIUOLO
produzione esecutiva di PIERLUIGI GERMINI e GEPPINO AFELTRA
i testi sono di VINCENZO D'AGOSTINO
le musiche sono di GIGI D'ALESSIO
軽やかで明るいポップ・センスのなかにナポリらしい感性が混ざり合い、さわやかな哀愁が心地よいGigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)。ナポリのスーパースターだった彼も2000年のサンレモ音楽祭出場を機に、イタリア全土での地位を獲得したようです。
サンレモ音楽祭の審査員による評価順位は決して高くなかった彼ですが、音楽祭後にリリースされた参加曲を含むアルバムは、他の音楽祭参加者の新譜をはるかにしのぐ勢いで売れ、アルバム・チャートのトップに輝きました。これにより、彼の音楽が一般民衆の心をつかんだことが証明されました。
サンレモ参加曲の「Non dirgli mai」は哀愁のバラードでしたが、このアルバム全体としてはポップ・チューンあり、ナポリらしい哀愁に満ちた曲あり、都会的なしゃれた曲ありと、バランスのよい配曲になっています。
サンレモ出場の効果か、録音や楽器の音、アレンジなども、いままでよりずっとお金と時間がかかっていて、恵まれた状況のなかでじっくりとつくりあげられたように感じます。ただ、それが逆に、Gigiの魅力をほんの少しだけ消してしまったようにも思えます。
そういえば、同じナポリ出身で、やはり地元の大スターだったNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)も、1999年のサンレモ音楽祭出場後にリリースされたアルバムは、それまでのNinoのアルバムにあった素朴な良さが少し消されてしまっていました。
GigiのアルバムもNinoのアルバムも、イタリア最大の音楽祭であり、イタリア全土の国民が楽しみにしているといわれるサンレモ音楽祭に出場したことを意識するためか、曲やアレンジが洗練され、より一般的、より最大公約数的な方向で、アルバムがつくられてしまっているように感じます。
GigiにしろNinoにしろ、彼らの最大の魅力はやはり、そのナポリ臭さにあるのではないでしょうか。ナポリ・ミュージシャンという強いアイデンティティこそが、彼ら自身の個性をかたちづくっていた面が多いはずです。
しかし、サンレモ音楽祭参加後にリリースされるアルバムでは、そういったナポリのローカル色を薄める方向で制作され、より洗練された、あるいはわかりやすいかたちを示すことを、レーベル側から要求されたのだろうと推測します。
もちろん、新たなファンを引き込むという意味で、それはそれでよいのでしょう。それに、表層面の肌触りが多少、変わったところで、クオリティ面や音楽の本質面が変わるわけではありません。実際、このアルバムにもGigiらしさは随所に現われているし、そのうえでたぶん、はじめてGigiの音楽に触れる人にとっては、これまでの作品以上にとっつきやすいものになっていると思います。
それでもやはり、もっとGigiらしさ、もっとナポリらしさを強く打ち出した作品を、自分は期待してしまいます。セールス面を考えればそうもいっていられないのでしょうが、洗練されて汎イタリア的なポップスになるよりも、ナポリ・ローカルの色合いを大事に残してほしいと願っています。
2001年以降、彼が再度サンレモ音楽祭に出ることがあるかどうかはわかりませんが、この次のアルバムでは、全国区での人気を経験したうえでのポップ・ナポリターナを強く打ち出した作品を期待したいです。
いろいろと思うところはありますが、このアルバム自体は古くからのイタリアン・ポップスの持つ柔らかいメロディとほのかな南部らしさが楽しめる、良い作品です。Gigiの伸びやかで丸い歌声は、イタリア好きの心に響きます。