GIGI FINIZIO


SOLO (1999年)

   ジジ・フィニツィオ / ソーロ
    (GREEN / DUCK RECORD GRCD 6206 / イタリア盤CD)



jacket photo   1: MALE DENTRO
  2: T'INNAMORERAI
  3: FAMMI RIPROVARE
  4: SCACCO MATTO
  5: LO SPECCHIO DEI PENSIERI
  6: SOLO LEI
  7: NOTTE SENZA LUNA
  8: SOLITUDO
  9: OCCASIONI
 10: SARAI
 11: VITA TI SORRIDERA'
 12: IL CUORE NEL CAFFE'
 13: PRIGIONIERO DI UN SOGNO


prodotto da; Bruno Barbone







 Gigi Finizio(ジジ・フィニツィオ)はナポリ出身のカンタウトーレのようです。メジャー・レーベルからは数枚のアルバムしかないようですが、地元ナポリのローカル・レーベルからはすでに十数枚のアルバムが出ています。
 このアルバムは1999年のリリースですが、リリース元がDuckレーベルなので、たぶんベスト選曲を新録したものではないかと思います。他のアルバムを聴いたことがないのでハッキリはわかりませんが。

 ナポリ出身のシンガーというと、以前はPino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)やNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)などのように、ちょっとこもった感じの声で歌う人が多いのかと思っていました。でも、Gigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)やGigi Finizioのように、澄んだ高音で歌うシンガーも少なくないのかもしれません。

 Gigi Finizioの歌は、伝統的なナポレターナやカンツォーネ・イタリアーナの良質な部分を、非常に大事に残してきたものではないかと感じます。そこに現代的な、クリアでポップな感じをうまく混ぜ込み、結果としてイタリアンな情感をたっぷり残しながらもクオリティの高い現代ポップスになっています。
 ビックリするような仕掛けや目新しさといったものはありませんが、美しいメロディと展開を持った、イタリアのアイデンティティを強く感じさせる作品です。

 曲によっては後期Chicago(シカゴ)や、あるいは最近はやりのRicky Martin(リッキー・マーティン)やEnrique Igresias(エンリケ・イグレシアス)などのラテン・ポップを思わせるもの、さらにはアメリカのアダルト・コンテンポラリー・ミュージック風なものもありますが、Gigiの歌が生きるのはやはり、イタリアらしさをたっぷり持った、ゆったりとしたバラードでしょう。

 とはいえ、彼の歌い方自体にはそれほどイタリア的な感じは強くありません。ナポリというと強い個性を持った人が多いように思いますが、その点では、Gigiは薄味といえます。
 でも、いちヴォーカリストとして彼の歌を聴いた場合、非常に歌唱力のあるシンガーといえるでしょう。クリアで伸びのある高音は決して軽くならず、しっかりした質感と艶を持っています。そして暖かい歌声は非常に心地よく響きます。

 このアルバムから聴けるトータルの印象としては、泥臭さのない、スッキリとした声とメロディを持ったカンタウトーレといったところでしょうか。その点で多少、物足りなさを感じるともいえますが、イタリアの、イタリアらしい「歌」を感じるには充分な作品といえるでしょう。

(2000.04.15)








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