GIANNI FIORELLINO


FUTUROSEMPLICE (2000年)

   ジャンニ・フィオレッリーノ / フートゥロセンプリーチェ
    (VIS / CD MUSIC ENTERTAINMENT VIS CD 7003 / イタリア盤CD)



jacket photo   1: GRANDE AMORE MIO
  2: CASA E CHIESA
  3: CU'TTE
  4: PANZAROTTO E ZEPPULELLA
  5: FINO ALLA FINE DEL MONDO
  6: GIRASOLE
  7: APPICCECATE
  8: ...E SI'DAMIA
  9: TE DONGO EL CORE
 10: TRE PER TRE (AMO TE)


testi e musiche: Antonio Casaburi - Gianni Fiorellino
arrangiamenti e firezione: Gianni Fiorellino - Mario Simeoli

batteria: Carmine Napolitano
basso: Roberto D'Aquino
chitarra: Maurizio Fiordiliso
chitarra, mandolini, bouzuki: Paolo Del Vecchio
sax: Annibale Guarino
percussioni: Emidio Ausiello
fisarmonica: Sasa' Piedepalumbo
piano: Gianni Fiorellino
cori: Brunella Selo, Franco Castiglia







 イタリアという国はもともと別々の国だったいくつかの国がひとつにまとまってできあがった国だから、今でも地域ごとに独自の文化があって、土地の人々はそれらを大事に思い、守り、残そうとしているといいます。

 ポピュラー・ミュージックに関しては、全体としてはそれほど地域ごとの特性というものはないようにも思いますが、それでも北イタリア出身のアーティストにはシャンソンやジャズなどを感じさせる、ちょっとクールもしくは思索深い印象がありますし、フィレンツェからローマあたりの中部イタリア(というには広すぎますが)出身のアーティストにはロマンティック、ドラマティックな印象があるように思います。
それはもちろん、その土地出身のアーティストは誰かと問われて、誰が思い浮かぶかによって、ずいぶん違ってはくるのでしょうが。

 でも、それ以上に地域特性の強い個性を感じるのは、やはりナポリを中心とした南イタリアのアーティストたちでしょう。

 ナポリ出身のアーティストたちには、いかにもナポリ的な歌を聴かせる人もいれば、アメリカン・テイストの洗練されたポップスやジャズを感じさせる人もいますし、さらには中世音楽からHip-Hopまで、さまざまな音楽を聴かせてくれます。
でも、そういった表現方法の違いはあっても、その根底にはいつも「ナポリの歌」が背景に感じられるように思うのです。そして、この「ナポリな感じ」はある意味、ある程度の昔からイタリアのポピュラー・ミュージックを聴いている人にとっては、もっとも「イタリアらしい」と感じる部分ではないのでしょうか。

 Gianni Fiorellino(ジャンニ・フィオレッリーノ)は、そんな「とってもイタリアらしい」ポップスを聴かせるナポリ出身のカンタウトーレです。
1999年のナポリ音楽祭(Festival di Napoli)に参加し、見事優勝を飾ったのが彼ですが、新人なのでしょうか? まだ若いシンガーです。

 このアルバムがデヴュー作なのか、それとも地元ナポリではたくさんのアルバムがリリースされているのかはわかりませんが、ナポリ音楽祭で優勝したことからもわかるように、非常にイタリアらしい、それ以上にナポリらしい音楽を聴かせてくれます。
 タイプとしては、Nino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)やGigi D'Alessio(ジジ・ダレッシオ)、Gigi Finizio(ジジ・フィニツィオ)などに近いといえます。

なかでも最近のGigi D'Alessioにかなり雰囲気が似ているのではないでしょうか。Nino D'Angeloほど哀愁度が高くなく、Gigi Finizioほど軽くなく、ナポリらしい哀愁と明るい軽やかさがバランスよく表現されているところは、Gigi D'Alessioのアルバム『Portami con te』に非常に近いと感じます。
 また、バックのアレンジや楽器の音づくりに関するセンスのよさは、Nino D'AngeloやGigi D'Alessio以上ではないでしょうか。
 ヴォーカルの個性、味わいという点でも、Nino D'Angeloにはまだ届きませんが、Gigi Finizioよりは上、Gigi D'Alessioとはいい勝負かもう少しといったレベルにあるように思います。曲のクオリティという点でも、ナポリらしさと洗練度のバランスが非常によく、これもGigi D'Alessioといい勝負といえるでしょう。

 総合的に考えて、Gianni Fiorellinoはかなりよいカンタウトーレだと思います。他のアルバムも聴いてみたいし、もし新人なら今後の成長と活躍が楽しみです。
 2000年のサンレモ音楽祭でGigi D'Alessioの歌を聴いてナポリ・ポップの魅力に目覚めた人にも、ぜひ聴いてもらいたいカンタウトーレです。もちろん、1999年のナポリ音楽祭優勝曲「Girasole(ひまわり)」も収録されています。

(2000.08.13)








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