testi e musiche: Antonio Casaburi - Gianni Fiorellino
arrangiamenti e direzione: Mario Simeoli - Gianni Fiorellino
produttore: Zuccariello
produttore esecutivo: Antonio Casaburi
batteria: Carmine Naplitano
basso: Roberto D'Aquino
chitarre: Maurizio Fiordiliso, Paolo Del Vecchio
sax: Annibale Guarino
fisa: Gianni Fiorellino
percussioni: Emidio Ausiello
cori: Sabrina e Valeria Guida
Gianni Fiorellino(ジァンニ・フィオレッリーノ)といえば1999年のナポリ音楽祭優勝者で、その後はサンレモ音楽祭にも参加。2000年のサンレモ音楽祭で「ナポリ・ショック」を与えたGigi D'Alessio(ジジ・ダレッシォ)に続く人気カンタウトーレ・ナポリターノになるかと思いきや、その後の人気は意外と地味な感じがする(のは自分だけ?)人です。
ナポリ音楽祭優勝曲「Girasole」を収録したアルバム『Futurosemplice』はいかにも若いナポリ出身カンタウトーレらしい、ロマンティックな哀愁を存分にまとったポップ・ミュージックが満載で、同じナポリ出身のNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)やGigi Finizio(ジジ・フィニツィオ)よりも、2000年の時点ではいいんじゃないか、もしかしたらGigi D'Alessioすらしのぐのではないか、と思ったものでしたが、サンレモ音楽祭参加曲でずいぶんと都会的になってしまい、やはりサンレモ参加を機に都会化?が進んだGigi D'Alessioと同じ道を歩むのかぁと、一気に興味が失せてしまったのでもありました。
で、この『Favole』というアルバムですが、どうやら再発もの(レーベルがAzzurraですし)。リリース年が書いてないのですが、ウェブで調べたところ、『Futurosemplice』のひとつ前にリリースされたアルバムのようです。つまり、まだナポリ音楽祭優勝という肩書きがつく前の、ナポリ・ローカルの新人若手兄ちゃんのひとりでしかなかった頃の作品というわけです。
思うに、この頃のGianniってきっと、人気なかったろうなぁ。
声はいいです。いかにもナポリらしい、Gigi D'Alessioにも似た丸く暖かで伸びやかな声。曲も、いいものはいいです。でも、かっこ悪い曲も多いのですよ。とくにちょっとアップ・テンポ系/リズミカル系の曲が、いかにもダサダサです。いったいいつの楽器を使ったいつのアレンジだよってくらい、チープで古臭くて薄っぺらで無駄に派手なアレンジが施されてます。『Futurosemplice』ではGigi D'Alessioの当時のアルバムをしのぐかってくらいセンスのいい音づくりとアレンジがされていたことを考えると、いったいその前の1年程度の間に彼にいったいなにが起きたのかって感じです。
残念なことは、こういったダサダサ・ポップがアルバムの半分くらいを占めていること。歌メロ自体は多少ダサいなりにも耐えられるし、声に親しみがもてるから聴けるのだけど、このアレンジはいかんよぉ、きみ!と思ってしまいます。
でもね、スローからミディアム・テンポ系、バラード系の曲はね、やはりよいのですよ。ナポレターナと現代イタリアン・ポップスのミクスチュアといった感じで、ロマンティックに、センチメンタルに歌ってくれます。アルバム・タイトル曲の「Favole」とか「Mullechella 'e zucchero」とかね、いい感じです。1曲のなかでメジャー・マイナーと調が変わるところとかね、いかにもナポリ・ポップ。このくらいのセンスと落ち着いたアレンジのまま、アップ・テンポ系やリズミカル系もつくれていたなら、アルバム全体の印象もかなりよくなるだろうになぁ。しかしそれは、次の『Futurosemplice』まで待たなくてはいけなかったのですね。
ま、このアルバムはこのアルバムで、ちょっと有名になる前の若き日のGianni Fiorellinoの歌が聴けるという価値があるのでよしとしよう。いい曲も入ってるしね。