GIANLUCA GRIGNANI


LA FABBRICA DI PLASTICA (1996年)

   ジャンルカ・グリニャーニ / ラ・ファッブリカ・ディ・プラスティカ
    (MERCURY / PolyGram 532 627-2 / イタリア盤CD)



grignani1   1: LA FABBRICA DI PLASTICA
  2: + FAMOSO DI GESU
  3: SOLO CIELO
  4: TESTA SULLA LUNA
  5: FANNY
  6: L'ALLUCINAZIONE
  7: LA VETRINA DEL NEGOZIO DI GIOCATTOLI
  8: GALASSIA DI MELASSA
  9: ROK STAR
 10: IL MIO PEGGIOR NEMICO







 いま、イタリアで大人気らしいジャンルカ・グリニャーニの1996年のアルバム。
 ジャケットには10曲しか書いていない(プレイヤーのカウンターも10曲しか出ない)けれど、10曲目のあと、長いインターバルをはさんで、「Qualcosa nell'Atmosfera」という曲が入っている。

 一言でいえば、ロック。骨太で、どこか土の匂いがするというか、非常に力強いロック。
 土の匂いといっても、けっして田舎っぽいとか、垢抜けないというわけではない。どちらかというと、都会の音だろう。地面にしっかり足をつけている感じとしての“土の匂い”がする。土というより、アスファルトの匂いといったほうがいいのかな。

 最近の自分はすっかり“あも〜れ〜”な人になってしまい、美しくて優しい肌触りのポップスばかり聴いているので、こういうストレートなロックは久しぶり。ギミックのない、非常にロックらしいロックといえる。
 で、こういうタイプの曲が自分は好きかというと、じつはそうでもない。

 もともとキッス(KISS)が好きで洋楽に入った自分なので、けっしてロックが嫌いなわけじゃないけれど、いわゆるストレートなロックって、ちょっと苦手。プログレや様式美メタルのような、ヨーロッパの匂いがぷんぷんして、ドラマティックな展開をするのが好きなんです。
 ジャンルカはもっとコアなロッカー(カンタウトーレではなく、まさにロッカー)のようなので、ちょっと自分の趣味からはずれている。ヨーロッパの匂いもあまりしないし。

 とはいえ、楽曲はどれも、ロックとして完成度が高いと思う。こういう、エレクトリック・ギターのリフやキーボードのオーケストレーションで聴かせるのではないタイプのバッキングをもったロック、アコースティック・ギターの力強いストロークが多用されているようなロックが好きな人には、アピールするだろう。ヴォーカルにも説得力がある。
 充分に魅力的なロックだと思う。少なくとも、ビアジオ・アントナッチ(Biagio Antonacci)よりかは、単純に「カッコいい!」と思える。

 そんな、非常にピュアなロックのなかにときどきかいま見える美しいフレーズに、何度かハッとさせられる。
 あまりイタリアやヨーロッパを感じさせないジャンルカのアルバムだけど、アメリカのロックとは違った美意識が感じられる瞬間が、ちょっと心地よくもあるんです。

(1998.04.09)








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