GIANLUCA GRIGNANI


SDRAIATO SU UNA NUVOLA (2000年)

   ジャンルーカ・グリニャーニ / スドライアート・ス・ウナ・ヌヴォラ
    (UNIVERSAL MUSIC ITALIA 542 79102 / EU盤CD)



jacket photo   1: SPECIALE
  2: MRS. NOIA
  3: LE MIE PAROLE
  4: SDRAIATO SU UNA NUVOLA
  5: LA LIBERTA'
  6: SINCERO E LEGGERO
  7: MR. FUTURO
  8: UNA COSA STRANA
  9: IL CIELO SOPRA IL 2000
 10: QUELLA PER ME
 11: CONTROTEMPO


prodotto e arrangiato da GIANLUCA GRIGNANI
musica e parole di GIANLUCA GRIGNANI

programmatori: Umberto Iervolino, Massimo Colasanti
piano: Luca Scarpa, Arturo Valiante, Umverto Iervolino
hammond: Pippo Guarnera, Arturo Valiante, Umverto Iervolino
tastiere: Umverto Iervolino
chitarre: Gianluca Grignani, Fabio Massimo Colasanti
basso: Cesare Chiodo
batteria: Alfredo Golino
mandolino: Fabio Massimo Colasanti
percussioni: Rosario Iermano

arrangiamenti d'orchestra d'archi: Gianluca Grignani
direzione d'orchestra d'archi: Umberto Iervolino
orchestra: Orchestra dell'associazione musiciti italiani di Milano







 Gianluca Grignani(ジャンルーカ・グリニャーニ)のアルバムは、これまでに4枚ほどリリースされていますが、自分は1996年にリリースされた『La fabbrica di plastica』しか聴いたことがありませんでした。その印象から、骨太で男臭いアコースティック・ロック兄ちゃんだと思っていたのですが、2000年にリリースされた本作『Sdraiato su una nuvola』(「雲のうえに寝転んで」といった意味でしょうか?)では、すっかり印象が変わっています。骨太で力強いと表現するにはあまりにも繊細でメロウな作品になっているのです。
 これを「デヴュー当時の作風に戻った」と表現する人もいるようなのですが、もしそうなのだとすれば、彼のファースト・アルバムも聴いてみたい気になります。

 繊細でメロウになったとはいえ、そのなかにロック的な力強い部分はうかがえます。しかし、それ以上に男の弱さ、哀しさのようなものが強く前面に出ています。若さと力強い男臭さが強く出ていた『La fabbrica di plastica』(「プラスティック工場」という意味でしょうか)にくらべると、明らかに「大人になった」感じがします。

 楽曲も、ロック寄りだった『La fabbrica di plastica』とは違い、よりメロディアスなミディアム・テンポの曲がアルバム全体を占めています。控えめのオーケストラも全体に使われていて、これがまた、どことなく孤独な感じと、かつ、たおやかな心象風景を思わせます。
 Gianlucaがこういうアルバムをつくれるなんて想像もしていませんでしたが、このアルバムは叙情派カンタウトーレのファンにも楽しめるでしょう。ほのかな切なさと充分な美しさを持った、しかし甘いだけではない、なかなかよくできた作品です。

 ただ、難点をいうなら、それぞれの曲自体は独立しておもむき深い美しさを持っているのですが、アルバム全体として聴いた場合、曲想がメロウ系に偏っていて広がりがないため、ちょっと冗長に感じます。メロウ系ベースでアルバムを構成するにしても、全体のドラマ、構成を考えて、場面転換となる曲、アクセントなる曲を要所要所で配置し、アルバム全体でひとつの大きなストーリーを感じさせるようなつくりを期待したかったところです。
 また、アルバム『La fabbrica di plastica』で聴かれた男臭いロックは彼の魅力のひとつだったと思うのですが、その要素がほとんどなくなってしまっているのも、ある意味で残念です。そのロック要素と、このアルバムで表現した少し寂しげな要素をバランスよく組み合わせ、自分の内で再構築して今後の作品に投影できれば、息の長い実力派カンタウトーレになるように思います。

(2001.03.18)








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