GIANNA NANNINI


GRAZIE (2006年)

   ジァンナ・ナンニーニ / ディスペット
    (BAD & WORTH / POLYDOR / UNIVERSAL MUSIC ITALIA: 9876805 / EU盤CD)



jacket photo
  1. SEI NELL'ANIMA
  2. POSSIAMO SEMPRE
  3. L'ABBANDONO
  4. GRAZIE
  5. LE CAREZZE
  6. BABBINO CARO
  7. TRENO BIS
  8. IO
  9. MI FAI INCAZZARE
  10. ALLA FINE


prodotto da Wil Malone & Gianna Nannini

voce: Gianna Nannini
archi: Wil Malone
chitarre: Davide Tagliapietra, Rudiger Elze, Fausto Mesolella, Gianna Nannini, Camillo Sampaolo
basso: Hans Maahn, Lino De Rosa
batteria: Thomas Lang
pianoforte: Francesco Sartori, Wil Malone, Ani Martirosyan
drum sound: Gianna Nannini
cori: I piccoli cantori di Milano, Gianna Nannini, Giulia Santaroni, Wil Maone, Delay Lama








シエナ出身のGianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)は1956年6月14日生まれだそうですから、もう50歳になるのですね。個性的なだみ声でパワフルなロックを歌い続けてきたGianna姉さんですが、前作の『Perle』といい、今作の『Grazie』といい、さすがに最近は落ち着いてきたのかなぁという印象を受けます。

このアルバムも最近流行のDual Disc版が初回限定で出ているのですが、自分は映像にほとんど興味がないので、CDのみのノーマル版を購入しました。こっちのほうが安いし。

ベスト選曲をピアノの伴奏で情感豊かに歌い上げた前作『Perle』は、かなりの名盤だと思います。ただ、これまでの作風とはかなり違うアルバムなので、これはある種の企画盤として、次はまたパワフルなロック・アルバムに戻るのかなと思っていました。しかし、今作もまた、あまりロックを感じさせないものになっています。

全体にスローからミディアム・テンポの曲が多く、ほとんどの曲にオーケストラがかぶせてあります。そのオーケストラにより盛り上がる構成は多く聴かれますが、歌メロ自体はシンプルで、どちらかといえば平凡。またヴォーカルも、前作ほどの豊かな表情を感じません。

M1「Sei nell'anima」はスローなポップ・ロックで、サビのメロディがとてもGianna風。控えめにかぶさるおだやかなオーケストラが心地いいです。

M2「Possiamo sempre」はギターの音色を活かしたミディアム・テンポのロック。エレキのディストーション・サウンドとクリーン・トーンだけでなく、アコースティックの艶のある音色も上手に使っています。歌メロとアレンジはけっこう平凡ですが、曲の構成は、Giannaにしてはちょっと複雑(というほどでもないけれど)でドラマティックかもしれません。

M3「L'abbandono」はアコースティック・ギターとオーケストラをバックに歌われる曲で、とてもおだやか。どことなくほのぼのとした感じもありながら、ほのかに哀愁と郷愁も感じられます。古き良き時代のポピュラー音楽を思い出します。

M4「Grazie」もスローでシンプルな曲ですが、メロディがとてもGiannaらしい感じ。サビでは厚いオーケストラが入り、高揚します。

M5「Le carezze」は少しシリアスな感じのするスローな曲。バックにはずっとオーケストラが鳴っています。ほんの少しだけRenato Zero(レナート・ゼロ)っぽいというか、Renatoに歌ってもらったら、さらにドラマティックになりそうな雰囲気です。

M7「Treno bis」ではガット・ギターのやわらかい音色によるアルペジオが印象的。これにやさしいオーケストラが入り、セレナータ風というか、子守唄風のおだやかな曲になっています。

M9「Mi fai incazzare」は構成に凝った感じがあります。少しいなたいスローなロックでGiannaのヴォーカルに合っていますが、U2に歌ってもらったらもっといい感じになりそうとも思いました。どことなく、U2に歌わせたいような、なにかのメッセージを感じます。自分はイタリア語がわからないので、この曲に特別なにかのメッセージがあるのかどうかは知りませんが。

M10「Alla fine」はピアノとオーケストラのバックによるバラードで、美しく、だけど力強く、アルバムの幕が下ります。

どの曲も、たおやかなオーケストラが心地よくはあるのだけど、ちょっと曲・テンポのヴァリエーションが乏しい感じがします。また、元気なロックがないのも残念。若いころのような元気さでなくてもいいけれど、Giannaにはやはり、そのヴォーカル・スタイルの個性を活かして、円熟のロック・ヴォーカルを聴かせてほしかったな。悪くはないのだけれど、落ち着きすぎてしまったというか、綺麗にまとまってしまった感じがあり、ロック姉さんとしてのGiannaの魅力があまり感じられませんでした。

(2006.07.22)







Musica

Pensiero! -- la Stanza di MOA

(C)MOA

inserted by FC2 system