testi e musiche di GATTO PANCERI
prodotto e arrangitato da PATRICK DJIVAS
batteria: Jan Paul Ceccarelli, Lele Melotti
basso: Carmelo Isgro', Patrick Djivas, Paolo Costa, Saturnino Celani
chitarre: Andrea Braido, Gianluca "Edgar" Varesi, Thierry Zins, Gatto Panceri, Claudio Bazzari
tastiere: Thierry Eliez, Alessandro Sala
sax: James Thompson
cori: Gatto Panceri, Glen Whithe, Silvio Pozzoli, Giulia Fasolino, Paola Folli, Lalla Francia
短くてこじんまりとしていたながらも魅力的な初来日ステージ(2005年)を見せてくれたことが記憶に新しいGatto Panceri(ガット・パンチェーリ)。これは、もともとは『Cavoli amari』というタイトルでリリースされたファースト・アルバムに、1992年のサンレモ音楽祭参加曲「L'amore va oltre」を追加して再リリースされたアルバムです。
来日ステージではほどよくポップ、ほどよくロックで、イタリアらしい、だけど過剰にイタリア臭くはない美しいメロディの曲をたくさん聴かせてくれましたが、デビュー当時のGattoはもっとロック色が強かったんだなということが、このアルバムを聴くとわかります。また演奏だけでなく、曲のスタイル自体も、よりシンプルなロック・テイストを持っていたのだということも。
正直にいってしまうと、このアルバムに収録されている曲でロック色の強いものには、あまり魅力的なものがありません。メロディも演奏も、けっこうありきたり。ただGattoの少しひび割れたヴォーカルは独特の味わいがあります。この時点ではソング・ライターとしてよりもヴォーカリストとしての彼のほうに才能や将来性を感じます。
しかし、ソング・ライティングにも眠れる才能がたくさんあったのでしょうね。その片鱗が「L'amore va oltre」を含め数曲の、あまりロック色の強くないポップ・ミュージックに現われています。こういった曲には、のちの彼の作品に聞かれる、イタリアらしい、だけど過剰なイタリア臭さはない、美しく素直なメロディがいくつもあるのです。そして、のちのアルバムになるほど、こういったタイプの曲が増えているようです。
曲の出来としても、Gattoのヴォーカルとのマッチングとしても、ロック系の曲よりもポップ系の曲のほうがクオリティが高いと感じます。ただ、このデビュー・アルバム(の再発版)ではまだロック系の曲が主導権を握っていて、ポップ系の曲はアクセントのように含まれているだけです。Gattoの魅力が出し切れてはいない、だけど将来への期待は感じさせるという、ある意味でデビュー作らしいアルバムかもしれません。