musiche: Gianni Togni
testi: Guido Morra
arrangiamenti: Gianni Togni
Gianni Togni: voce, chitarra, pianoforte
Patrizia Scascitelli: pianoforte, clavicembalo
Arturo Stalteri: celesta, organo, eminent, pianoforte
Piero Ricci: basso
Roberto Della Grotta: contrabbasso
Carlo Siliotto: violino
Claudio Filice: violino
Antonio Ciarlatini: violoncello
Maurizio Gianmarco: sax, flauto
Pierluigi Germini: batteria
Bruno Biriaco: batteria
Mandrake: tumbadoras
タイトルは「ヒーローのように」とでも訳すのでしょうか。とてもおだやかなアルバムです。
エッジの丸いアコースティック・ギターのアルペジオやウッド・ベースがやわらかく響くM1「Oggi si muore」、フルートの音色が夢幻を感じさせるM2「Come se」。ピアノの弾き語りのM3「Naufragio」はちょっと地味すぎでしょうか。
Gianni Togni(ジァンニ・トーニ)の声はソフトで優しく、草香る草原をゆるやかに流れる風のような、やわらかな甘みを感じさせます。パッションやドラマティックさとは無縁の淡々とした歌ですが、そのなかに繊細さと揺れやすい感性を見つけられます。曲のタイプや方向性は違いますが、たとえばPaolo Frescura(パオロ・フレスクーラ)やMauro Pelosi(マウロ・ペローシ)、Claudio Rocchi(クラウディオ・ロッキ)などにもどこか通じる部分があるかもしれません。
M5「Una coscienza di classe」はガット・ギターにクラヴィチェンバロという、使い方次第では華麗なバロック風味になりそうな楽器構成ですが、音数の少ない地味なアレンジが施されていて、危ういバランスの上に立っているもろい心を思わせます。
M6「Come sempre」にはPierrot Lunaire(ピエロ・リュネール)のArturo Stalteri(アルトゥーロ・スタルテーリ)が参加しています(同じItレーベルに所属していた関係でしょうか)。だからといってPierrot Lunaire風になるわけではありませんが、水のようなピアノの響きやすくしくすんだキーボードの音色にプログレッシヴ・ロックの香りを感じます。
全体に「閉じた」感じの色濃いアルバムですが、M8「In una simile circostanza」はいくらか「開いた」感じがします。他の曲にくらべると少しリズミック(?)な曲です。
M8でいくぶん明るさを取り戻しますが、続くM9「Questo ostile freddo vivere」ではヴァイオリンが物悲しく響き、フランスの古い悲恋映画などを思わせます。
ラストのM10「Basta」も生ピアノの音が哀しげで、感傷的な曲。エンディングでは力強さも出てきますが、トーンは暗いです。
このアルバム、CD再発したのがM.P.Recordsということからもうかがえるように、ポップスやカンタウトーレのファンよりはプログレッシヴ・ロックのファンのほうが楽しめそうな感じがします。