GIANNI TOGNI


COM'ERO (1981年)

   ジァンニ・トーニ / コメロ
    (MICOCCI DISDHITALIA EDITORI / M.P.RECORDS: MPRCD 030 (ZPLT34136) / イタリア盤CD)



    jacket photo
  1. OGGI SI MUORE
  2. COME SE
  3. NAUFRAGIO
  4. UN NUOVO ASILO
  5. UNA COSCIENZA DI CLASSE
  6. COME SEMPRE
  7. FORSE
  8. IN UNA SIMILE CIRCOSTANZA
  9. QUESTO OSTILE FREDDO VIVERE
  10. BASTA


musiche: Gianni Togni
testi: Guido Morra
arrangiamenti: Gianni Togni

Gianni Togni: voce, chitarra, pianoforte
Patrizia Scascitelli: pianoforte, clavicembalo
Arturo Stalteri: celesta, organo, eminent, pianoforte
Piero Ricci: basso
Roberto Della Grotta: contrabbasso
Carlo Siliotto: violino
Claudio Filice: violino
Antonio Ciarlatini: violoncello
Maurizio Gianmarco: sax, flauto
Pierluigi Germini: batteria
Bruno Biriaco: batteria
Mandrake: tumbadoras








 タイトルは「ヒーローのように」とでも訳すのでしょうか。とてもおだやかなアルバムです。

 エッジの丸いアコースティック・ギターのアルペジオやウッド・ベースがやわらかく響くM1「Oggi si muore」、フルートの音色が夢幻を感じさせるM2「Come se」。ピアノの弾き語りのM3「Naufragio」はちょっと地味すぎでしょうか。

 Gianni Togni(ジァンニ・トーニ)の声はソフトで優しく、草香る草原をゆるやかに流れる風のような、やわらかな甘みを感じさせます。パッションやドラマティックさとは無縁の淡々とした歌ですが、そのなかに繊細さと揺れやすい感性を見つけられます。曲のタイプや方向性は違いますが、たとえばPaolo Frescura(パオロ・フレスクーラ)やMauro Pelosi(マウロ・ペローシ)、Claudio Rocchi(クラウディオ・ロッキ)などにもどこか通じる部分があるかもしれません。

 M5「Una coscienza di classe」はガット・ギターにクラヴィチェンバロという、使い方次第では華麗なバロック風味になりそうな楽器構成ですが、音数の少ない地味なアレンジが施されていて、危ういバランスの上に立っているもろい心を思わせます。

 M6「Come sempre」にはPierrot Lunaire(ピエロ・リュネール)のArturo Stalteri(アルトゥーロ・スタルテーリ)が参加しています(同じItレーベルに所属していた関係でしょうか)。だからといってPierrot Lunaire風になるわけではありませんが、水のようなピアノの響きやすくしくすんだキーボードの音色にプログレッシヴ・ロックの香りを感じます。

 全体に「閉じた」感じの色濃いアルバムですが、M8「In una simile circostanza」はいくらか「開いた」感じがします。他の曲にくらべると少しリズミック(?)な曲です。

 M8でいくぶん明るさを取り戻しますが、続くM9「Questo ostile freddo vivere」ではヴァイオリンが物悲しく響き、フランスの古い悲恋映画などを思わせます。

 ラストのM10「Basta」も生ピアノの音が哀しげで、感傷的な曲。エンディングでは力強さも出てきますが、トーンは暗いです。

 このアルバム、CD再発したのがM.P.Recordsということからもうかがえるように、ポップスやカンタウトーレのファンよりはプログレッシヴ・ロックのファンのほうが楽しめそうな感じがします。

(2003.04.20)







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