GERARDINA TROVATO


GECHI, VAMPIRI E ALTRE STORIE (2000年)

   ジェラルディーナ・トロヴァート / ジェキ・ヴァンピーリ・エ・アルトレ・ストーリエ
    (INSIEME / SUGAR / UNIVERSAL: 1576262 / イタリア盤CD)



    jacket photo
  1. GECHI E VAMPIRI
  2. MAMMONE
  3. PICCOLI GIA' GRANDI (RMX)
  4. MA NON HO PIU' LA MIA CITTA'
  5. CHISSA'
  6. SOGNARE SOGNARE
  7. LASCIAMI LIBERE LE MANI
  8. VIVERE (con la partecipazione di Andrea Bocelli)
  9. NON E' UN FILM
  10. LA MIA LUNA
  11. IL SOLE DENTRO
  12. E GIA' (con la partecipazione di Renato Zero)
  13. GOODBYE
  14. ANGELI A META'
  15. ELISA
  16. VIVO PER TE


un progetto di Caterina Caselli Sugar








 2000年のサンレモ音楽祭参加曲「Gechi e vampiri」を収録したGerardina Trovato(ジェラルディーナ・トロヴァート)のベスト盤。
 この曲がけっこう気に入っていたので、ちょっとばかり楽しみにしてこのベスト盤を聴いたのだけど、こうして続けて何曲も聴いてみると、Gerardinaってけっこう平凡な女性シンガーかもと感じます。

 自分で曲づくりもするのでカンタウトリーチェ(女性シンガー・ソングライター)ともいえるのかもしれませんが、曲に個性があるわけでもないですし、ヴォーカリストとしてうまいわけでもありません。
 とくに曲が悪いとか、すごく歌が下手だといったことはないのですが、標準的な水準をクリアしているだけで、それを抜け出たところといったものが歌にも曲にも感じにくいと思います。

 結果として、これといった引っ掛かりのない作品に落ち着いてしまっています。ベスト盤ということもあり、アルバムとしてのストーリー性といったものも期待できないのも、少しつらいところです。

 M1「Gechi e vampiri」は2000年のサンレモ音楽祭参加曲で、ラテン・ポップス風の曲。ガット・ギターも導入され、ほどよい哀愁が漂っています。

 M2「Mammone」は明るい南欧リゾートのような軽やかさがあります。ガット・ギターのストロークを中心にした演奏も楽しげです。

 M3「Piccoli gia' grandi」はレゲエのリズムに乗ったエレクトリック・ポップ。リズムはレゲエですが、あまり軽やかさや楽しさはありません。シンセ・ベースやキーボードの音が重くべたついた感じです。

 M5「Chissa'」はスローで大きな流れのあるバラード。本当ならもっとドラマティックに響きそうなものですが、Gerardinaのヴォーカルに深みや厚み、広がりといったものがないため、薄くあっさりした感じにしあがっています。後半で聴かれる変なうなり声ヴォーカルも逆効果だと思います。

 M8「Vivere」はAndrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)とのデュエットです。Andreaのデヴュー・アルバムに収録されているものと同じヴァージョンではないかと思いますが、確認はしていません。このころのAndreaはけっこう地声も使っていて、この曲でも地声とオペラ・ヴォイスとの対比がいい感じだったりしますが、Gerardinaはその声に太刀打ちできていません。

 M9「Non e' un film」はスケール感のあるスローなロック。M5ではそぐわなかったうなり声ヴォーカルも、この曲では悪くありません。

 M11「Il sole dentro」はナポリの個性的なカンタウトーレ、Enzo Gragnaniello(エンツォ・グラニャニエッロ)の曲です。Enzoらしい独特の雰囲気が輝きを放っています。曲自体に個性が強ければ、Gerardinaのヴォーカルもそれなりに個性的に聴こえるといったサンプルだといえそうです。

 M12「E gia'」ではRenato Zero(レナート・ゼロ)がヴォーカルで参加。Renatoの個性的で抑えた感じのヴォーカルが入ると、曲にドラマが生まれます。その分、Gerardinaのヴォーカルの普通さが強調されてしまっているかもしれません。

 Gerardinaは曲のなかで、低くていくぶん太めの声と力んだうなり声の両方を使うようですが、その使い分けがあまり効果的にできていないように思います。彼女自身、自分のヴォーカルを自分でうまくコントロールできていないというか、自分の声なのに自分のものにできていないというか、そんな印象を受けました。

(2002.08.31)







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