ANYONE'S DAUGHTER


ADONIS (1978年)

   エニワンズ・ドーター / アドニス
    (METRONOME MUSIC / BRAIN: 0060.186 / 西ドイツ盤LP)



jacket photo

side 1: suite "ADONIS"
 Part I: COME AWAY
 Part II: THE DISGUISE
 Part III: ADONIS
 Part IV: EPITAPH

side 2:
 1. BLUE HOUSE
 2. SALLY
 3. ANYONE'S DAUGHTER



produced by Anyone's Daughter

Harald Bareth: bass, lead vocals
Uwe Karpa: guitars
Kono Konopik: drums
Matthias Ulmer: piano, rhodes, omni, mini-moog, hammond, vocals








Adonisっていうのは、ギリシャ神話にでてくるのでしたっけ? 女神アフロディーテに愛された美少年でしたよね。そのAdonisをテーマにしたコンセプト・アルバムのようです。

Anyone's Daughter(エニワンズ・ドーター)といえば正統的なジャーマン・シンフォニック・ロックを演奏するグループで、そのひたすらに美を追求した演奏や曲には好感を持てます。デヴュー作となるこのアルバムでも、クリーンで透明感のある美しいシンフォニック・ロックを聴かせてくれます。とくにLPのA面すべてを使った「アドニス組曲」は、彼らの持ち味をよく表わしてるといえるでしょう。

彼らの演奏って、派手なところがないので、あまりテクニック的にハイレベルな感じはしないのですが、よく聴くと、じつはドラムがけっこうすごいです。すごく細かくハイハットやらスネアやら叩いている。でも、それがぜんぜんうるさく感じないのは、ヴォーカルも含めたアンサンブルのなかで「歌うように」プレイされているからなのでしょう。

エレキ・ギターも、クリーン・トーンによる細かいアルペジオとウォーミーなディストーション・サウンド(フロント・ピックアップを使ってるのかな)を上手に使い分けて、イギリスのファンタジック系シンフォニック・ロックに引けを取らない夢見心地の演奏を聴かせてくれます。

ヴォーカルは線が細くて、あまり主張がないのだけど、美しく澄んだメイン・ヴォーカルの大部分にハーモニーをかぶせ、曲の持つファンタジックさをさらに高めています。そういう意味では、曲調によくあったヴォーカル・スタイルだと思います。とくにA面4曲目「Adonis part IV: Epitaph」の終盤で聴かれるハーモニーなどは、まさに天使の歌声って感じです。ヴォーカルだけでなく、この曲はこのアルバムのなかでもベストの1曲だと思います。

これらの各種インストゥルメンツにくらべると、キーボードがちょっと個性的に弱いかなという気もしますが、必要なとき以外はやたらと主張しないというスタイルは好ましいです。これはキーボード以外のインストゥルメンツ全体にもいえるように思えるので、Anyone's Daughterのメンバー全員が持っている気質のようなものなのかもしれません。

このアルバム、自分はLPしか持っていなくて、ほんとにひさしぶりに聴いたのだけど、いいアルバムですね。すがすがしくて美しいシンフォニック・プログレッシヴ。Sebastian Hardie(セバスチャン・ハーディ)の持つ南半球らしいあたたかでおおらかな感じを、そのままヨーロッパの持つあたたかさとおおらかさに置き換えたような、そんな印象を持ちました。

(2004.12.25)







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