produced by STS 8 MISSION
Xaver Drexler: vocal
Tom Schmitt: guitara, keyboards
Rolf Sanders: bass
Clive Borgards: drums
一時メロディック・スピード・メタルにはまったことがあって、それ系のグループやアルバムをいろいろ探したことがあります。きっかけはHelloween(ハロウィーン)の『Keeper of the Seven Keys part II』だったので、やはりこのアルバムがいちばんのように思うのですが、ほかにもGamma Ray(ガンマ・レイ)とか、Chroming Rose(クローミング・ローズ)といったジャーマン系、それにブラジルのAngla(アングラ)などは、けっこうよく聴きました。
STS 8 Mission(エス・ティー・エス・エイト・ミッション)も、そのころに知ったドイツのグループです。最初に聴いたのはファースト・アルバムでしたが、ジャーマン・メロディックらしいスピード感と陰影のあるクラシカルな雰囲気がいい感じでした。HelloweenやGamma Rayなどにくらべると小粒感はあるものの、メロディック・スピード・メタルの特性をきちんと持っていました。
『Blind』は彼らのサード・アルバムです。聴くのはひさしぶりなのですが、たしかこのアルバムから作風が少し変わったんだったと思います。いかにもジャーマン・メロディック・スピード・メタルといった感じではなくなり、より重量感のあるヘヴィ・メタル然としたものになっています。ミディアム・テンポの曲も多くなり、もはやスピード・メタルとはいいにくいかもしれません。
その点で爽快なドラマティックさという魅力は薄れましたが、アコースティック・セクションを導入して緩急をつけるなどして構成に変化をもたせ、単純なヘヴィ・メタルにはなっていません。メロディも、クラシカルな要素は弱まったものの、美旋律はふんだんに使用され、それなりにドラマティックです。
ヴォーカルが一瞬、力を抜いて歌うときのGeddy Lee(ゲディ・リー)に似ているような気がするのは、気のせいでしょうか。
前2作にくらべるとふつうのヘヴィ・メタルになっちゃったし、少しアメリカっぽくなっちゃった気もしますが、これはこれで楽しめるアルバムです。