IVANO FOSSATI


L'ARCANGELO (2006年)

   イヴァーノ・フォッサーティ / ラルカンジェロ (大天使)
    (SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT: 82876779342 / EU盤CD)



jacket photo
  1. HO SOGNATO UNA STRADA
  2. DENNY
  3. CARA DEMOCRAZIA
  4. L'AMORE FA
  5. L'ARCANGELO
  6. IL BATTITO
  7. LA CINESE
  8. BACI E SALUTI
  9. REUNION
  10. ASPETTARE STANCA
  11. PIANISSIMO


prodotto da Pietro Cantarelli e Claudio Fossati
arrangiamenti: Pietro Cantarelli

Ivano Fossati: pianoforte, chitarra, armonica
Pietro Cantarelli: pianoforte, fender rhodes, hammond, fisarmonica, tastiere, programmazioni
Claudio Fossati: batteria
Paolo Costa: basso, contrabbasso
Daniele Mencarelli: basso, contrabbasso
Massimo Varini: chitarra
Riccardo Galardini: chitarra
Fabrizio Barale: chitarra
Ernesttico Rodriguez: percussioni
Mirko Guerrini: saxofono, flauto








Ivano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)って、飛び飛びにしかアルバムを聴いていないこともあるのですが、自分にとっては、どうもうまくキャラクターをつかめないカンタウトーレのひとりです。

イタリアン・プログレッシヴのファンのあいだでは「元Delirium(デリリウム)の」という形容がなかなかぬぐえない彼ですが、Deliriumぽい、ほんのりプログレッシヴな作風って、Oscar Prudente(オスカル・プルデンテ)と連名の『Poco prima dell'aurora』以外ほとんどないと思います。ソロになってからの作品は、素朴であたたかみのあるポップスだったり、Claudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)もびっくりというくらいの熱唱型哀愁カンタウトーレだったり、カンツォーネ的なやわらかさがあったり、ラテンのパッションを感じさせるものだったり、南欧風の哀愁を漂わせるかと思えば、近年は北部を思わせるクールでクレバーな感じのジャズ風味だったり。

ただ、どのような曲調のときでも、音楽にまじめに向き合っている感じがするところ、そして、どことなくロマンティストな雰囲気をたたえているところが、Ivanoの魅力のひとつかもしれません。

2000年ころからジャズ風味の強い作品が続いていましたが、2006年にリリースされたこのアルバムは、それ以前の作風、よりカンタウトーレらしい作品に近いように感じます。ほどよくひび割れた味わいのある歌声を活かした、あたたかみのあるおだやかな曲が多く収録されています。

フォーク・ロックのM1「Ho sognato una strada」は、厚みのあるアコースティック・ギターのストロークが、なんだかゴージャスにすら感じられます。エレキ・ギターもいい音色でなっています。

M2「Denny」は歌詞重視のカンタウトーレ作品といった感じのおだやかな曲で、やさしく響くオルガンの抑えた音色が素敵です。

M3「Cara democrazia」はフォーク・ロック調の曲ですが、バックの演奏が非常に厚く重たく感じられ、その力強い歌い方からも、おそらくメッセージ色の強い歌詞なのだろうなと思わせます。

M4「L'amore fa」はシンプルなメロディでつづられるおだやかな曲で、オルガンとピアノのやさしい響きが印象的です。

M5「L'arcangelo」ではラテン風のアレンジが施され、明るくにぎやかな感じがします。演奏は華やかですが、メロディにはほんのり哀愁が漂っています。

M7「La cinese」ではアジアのお祭りのようなフレーズがレゲエ風のリズムにのるイントロがおもしろいですね。曲のなかにもアジアン・テイストなメロディが織り込まれています。

M8「Baci e saluti」はスローなフォーク・バラード系の曲で、ハーモニカの音色が寂しい夕暮れを思わせます。

M10「Aspettare stanca」はジャズ&ブルーズといった印象の演奏で、ウィスキーとタバコの煙が似合いそう。ジャジーなアレンジとはいっても、以前のアルバムで聴かれたようなクールで知的なユーロ・ジャズぽい感じというよりは、ハードボイルドな印象を受けました。

このアルバムのなかで自分がもっとも気に入ったのは、M6「Il battito」。最初はピアノとベースのシンプルな演奏で、ほのかにジャズっぽい感じがします。そこにのるヴォーカルは、なにかがひっかかったような歌い方で、強く「言葉」を意識させます。おだやかで地味なのだけど、深みと奥行きを感じます。そして終盤に向けて徐々にバックの演奏が厚くなり、シリアスに、ドラマティックになっていくのが印象的。自分はここに、プログレッシヴ・ロックに通じる匂いを感じます。

う〜ん、やっぱりIvanoってよくわからない。でも、その「よくわからないところ」が魅力的であったりします。

(2006.07.02)







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