IN MEMORIAM


THE ULTIMATE TERRORIZING AURA OF UNLOGIC MIND (2003年)

   イン・メモリアム / ジ・ウルティメイト・テロライジング・オーラ・オブ・アンロジック・マインド
    (INDONESIAN PROGRESSIVE SOCIETY RECORDS/SONY MUSIC ENTERTAINMENT INDONESIA: 514789.2 / インドネシア盤CD)



jacket photo
  1. BAGIAN
  2. HITAM PUTIH
  3. GORILLA
  4. KHILAF
  5. LABIRIN
  6. 2 BAGIAN: HITAM
  7. KOKAIN
  8. VERSUS
  9. BUDAK WAKTU
  10. AROGANSI
  11. OVERTURE


produced by Andi Julias

spiritual guidanc: Omar
drum: Anton
bass: Susan
guitar: Martin
keyboard / voc: Reynold
vocal: Bahar








インドネシアのプログレッシヴ・グループだそうです。ついに自分、インドネシアにまで手を出すようになってしまったのかと思うと、なんだか複雑な心境です。それよりもっとヨーロッパを充分に味わい尽くしたほうが自分本来のキャラのように思えるのだけど...

それはともかく。

インドネシアのプログレッシヴ・ロックってはじめて聴いたのですが、みんなこんな感じなのでしょうか。えらく派手でお祭り騒ぎ的なシンフォニック・ロックです。ツーバスをどこどこ踏みつけ、ゆるめのハイハットをラウドに殴りつけるドラマーは、明らかにヘヴィ・メタルを通り抜けてきた感じがします。けっこうハード・ドライヴィンな演奏で、プログレッシヴ・メタル的になってもおかしくないのですが、ハード&パワフルなドラマーに対してギターが弱いので、メタルにはなりません。

しかし、なんでしょうねぇ、このごった煮感。シンフォニック風、メタル風、民俗音楽風、ジャズ風、ムード歌謡風といった要素がごちゃ混ぜに現われては消え、ドラムがそれらをぶん殴り、鍵盤はときに重厚に、ときに華麗なオーケストレーションやフレージングでそれらの要素をみごとに演出します。その一方で、なんとなくアイデアに技術が追いついていないようなベースと、ひとり地味でなんとなくベクトルが違っちゃってるようなギターがアンサンブルを不安定にしています。これ、狙いじゃなくて、素でこうなっちゃってるんだよな、きっと。

ヴォーカルは、普通の歌い方をするときと、声楽風の歌い方をするときがあるのですが、この声楽風の歌い方が実に微妙です。中途半端にちょっとだけ発声を練習したことがありますみたいな感じで、聴いててちょっと恥ずかしい。日本のDeja-vu(デジャ・ヴ)などもそうでしたが、なんとなく、プログレッシヴ・ロックと男性の声楽風ヴォーカルって、うまくマッチしにくい気がします。なんとなくですが。女性のソプラノ・ヴォイスとかは合うことも多いのですけどねぇ。

ちなみにこのアルバムには女性ヴォーカルも一部導入されているのですが、これがムーディなスキャットでして、思わず「宇宙戦艦ヤマト」を思い出しました(若い人にはわからないだろうな)。もしやこのまま「真っ赤なスカーフ」(でしたっけ?)に続いていくのでは... とか思ったり。

なんか、にぎやかで、いろいろなアイデアがあって、そのアイデアがきちんとまとまらないままに投げ込まれてて、おもしろいといえばおもしろいのですが、演奏とアレンジの技術レベルが少し低いかな。うまいミュージシャンはいるのだけど、バンドとしてのバランスがきちんと取れていない感じ。そのため、アンサンブルでの転換のタイミングとかがばらばらとしてなし崩し的になってしまったり、楽器間での意識の方向に散漫さを感じてしまったりする部分がけっこう多くあるように思います。このあたりをきちんとすると、アイデアももっと活きてくるだろうし、にぎやかなお祭り騒ぎなのだけど緊張感もあってドラマティックなクオリティの高いハード・シンフォニックになりそうな気がします。

(2006.02.25)







Musica

Pensiero! -- la Stanza di MOA

(C)MOA

inserted by FC2 system