1: FEDE, SPERANZA, CARITA'
消えゆく希望の灯
2: IL PRETE E IL PECCATORE
聖人、罪人
3: C'E' CHI NON HA
希望
4: SINFONIA PER UN RE
王に捧げるシンフォニア
5: SFOGO
怒り
6: GLORIA, GLORIA
グロリア、グロリア
7: GUARDA COI TUOI OCCHI
君の瞳
オルガンとファズ・ギターの音色がとってもハードな曲で始まる、ジェット唯一のアルバム。フォルムラ・トレ(Formula 3)の最初の2枚などもそうだけど、ギターの音の汚さは、時代のせいなんだろうな。
プログレ・ファンのあいだではそれなりに知名度のあるジェットだけれど、このグループが母体となってマティア・バザール(Matia Bazar)が生まれたのも有名な話。
といっても、ジェットの音楽自体とマティア・バザールの音楽のあいだには、それほどつながりを見出せない。ヴォーカルがアントネッラ・ルッジェーロ(Antonella Ruggiero)でないからというのもあるだろうけれど、アレンジの方向性が、マティアはポップスだったけどジェットはロック寄りなせいだろう。
ロック寄りとはいっても、メロディはポップスにも通じるような、美しくて馴染みやすいものを持っている。
エレクトリック・ギターの音に繊細さを求めるのはつらいけれど、キーボードやコーラスの、華麗でドラマティックなアレンジなど、心打たれるものがある。2曲目から4曲目への流れがとくに見事で、とってもシンフォニック。
基本的にはプログレッシヴ・ロック・ファン向けのアルバムだと思うけれど、演奏にテクニックや緊張感を求めるタイプのグループではない。どちらかというと、唄心やひとつひとつのメロディで聴かせるタイプ。
グルッポ2001(Gruppo 2001)なんかもそうだけど、こういうグループって、誰に聴かせたらいいのか、ちょっとむずかしい。
とってもいいグループなんだけど、そのよさを感じるには、それなりの量のイタリアン・プログレやカンタウトーレの作品と馴染んでおく必要があるように思う。プログレとしては派手さにかけるし、ポップスとしてはやかましいので、予習なしに聴くと、そのよさに到達する前にイヤになってしまうかもしれない。
軽やかで美しいプログレ風味のポップ・ロック。けっこう気に入っている。ただ、アルバム最後の5曲目およびボーナストラックの6曲目は、なくてもよかったかなぁ。アルバムの統一感を損なってるように感じるんだけど。