JOVANOTTI
LORENZO 1999 CAPO HORN (1999年)
ジョヴァノッティ / ロレンツォ1999 カーポ・ホーン
(MERCURY / SOLELUNA / POLYGRAM ITALIA: 546 170-2 / EU盤CD)
- PER TE.
- IL RESTO VA DA SE'
- DOLCE FARE NIENTE
- LA VITA NELL'ERA SPAZIALE
- STELLA COMETA
- UN GIORNO DI SOLE
- UN RAGGIO DI SOLE
- FUNKY BEAT
- CAPO HORN
- DAL BASSO
- NON E' ANCORA FINITA
- NON C'E' LIBERTA'
- TUTTO PUO' SUCCEDERE
- BUON ANNO
prodotto da MICHELE CENTONZE e JOVANOTTI
Michele Centonze: arrangiamenti, suoni, chitarre, tastiere e cori
Saturnino: basso
Pier Foschi: batteria
Michael Franti: voce in "dal basso"
Pape Gurioli: piano solo
Ernesttico: percussioni
corni francesi: John Clarke, Bob Carlisle, Jeff Lang
violini: Elena Barere, Ann Leathers, Ricky Sortomme, Paul Peabody, Debbie Buck, Jan Mullen, Regis Landiorio, Avril Brown, Heidi Modr, Barry Finclair, Joyce Hamman, Marti Sweet
viole: Sue Pray, Carol Landon, Crystal Garner, Maryhelen Ewing
violoncelli: Richard Locker, Jeanne Leblanc, Diane Barere, Mark Shuman
contrabassi: Judy Sugarman, David Finck
flauti: Karen Griffin, Pamela Sklar
oboe: Rich Dallesio
Jovanotti(ジョヴァノッティ)といえばイタリア・ラップ界の第一人者なわけですが、ラップやヒップ・ホップのファンだけでなく、ひろくイタリアン・ポップスのファンにも愛されているのは、その音楽の背景にイタリアらしいメロディアスな面が強くうかがえるからなんでしょう。とくに近年の作品にはそういう要素が強いと思います。
このアルバムも、M1「Per te」では軽やかなエレクトリック・ピアノのストロークにストリングス・オーケストラやピッツィカートが入り、やわらかな印象を持ったイタリアン・ポップスになっていて、ラップな印象はぜんぜんありません。M3「Dolce fare niente」も同様に、ラップというよりは完全にイタリアン・ポップスです。
では、Jovanottiはラップを捨ててしまったのかというとそうではなく、M2「Il resto va da se'」やM4「La vita nell'era spaziale」などではきちんと聴かせてくれます。それでも、やっぱりアメリカのラップとは違うなぁと思うのは、ヴォーカルのうしろにいつもメロディを感じるからでしょう。
アメリカのラップ/ヒップ・ポップには、どこか攻撃的な印象を受けるのですが、Jovanottiにはそういう面が希薄です。激しくラップしている(?)ときでも、いつもどこかにやさしさやあたたかさを感じてしまいます。こういう部分はおそらく、Eminem(エミネム)などが好きなバリバリのラップ・ファンにとっては「ぬるい」と感じるところなんでしょうね(自分はEminemの音楽を聴いたことはありませんが)。
もともとラップやヒップ・ホップは、虐げられた層から生まれた、ある種の「怒りの音楽」なのだろうと思うのですが(まちがっているかもしれません)、Jovanottiはスタイルとしてのラップをうまくイタリアン・ポップスに取り込んだなという印象です(初期のころは、もっと本格的なラップだったのかもしれませんが、自分はよく知りません)。その取り込み具合が巧みなので、基本的にヒップ・ホップ系の音楽が苦手な自分にも、それなりに楽しめるのでしょう。
とはいえ、最近はちょっとラップから離れすぎ、ポップスに寄りすぎな印象もあり、Jovanottiの個性として、それはどうなんだろうと思うところもありますが。
(2003.07.20)