1: サーカスが来た日
2: ビッキー・ホリディの唄
3: 詩人オウムの世界
4: 労働者M
5: アメリカン・ショートヘアーの少年
6: 23の瞳
7: 電波Boogie
8: パノラマ島へ帰る
9: 航海の日
10: また会えたらいいね
11: お別れの日
12: 元祖高木ブー伝説
produced by KING-SHOW and KOICHI KORENAGA
KING-SHOW are:
KENJI OHTSUKI: vocals
FUMIHIKO KITSUTAKA: guitars
TOSHIAKI HONJO: guitars
YUICHIRO UCHIDA: bass
AKIRA OHTA: drums
インディーズ・ブーム、バンド・ブームのころに世に出てきたグループのなかで、その後も音楽シーンに生き残り、それなりの成功をつかめたグループはあまりないように思いますが、筋肉少女帯は成功した例といえるでしょう。その理由はやはり、歌詞、楽曲ともに独特の世界観を持っていて、またパフォーマーとしてそれを表現できる集団だったからでしょう。
筋肉少女帯の音楽は、いわゆるポピュラー・ミュージックの楽曲としては破綻していると思います。後期の作品ではそれなりにロックとしての体裁を整えるようになりましたが、このアルバムのころはまだ音楽+パフォーマンス的な色彩の強い楽曲が多くあります。
ポップス/ロックな演奏に語りの混じった特徴ある楽曲群はそれゆえ、ライトなロック・ファンには馴染みにくいマニアックさがあります。また大槻ケンヂの書く、江戸川乱歩の世界を思わせる歌詞も当時のメジャーなポップスとは馴染みにくいといえるでしょう。
しかし彼らは、というか、とくに大槻ケンヂは、ロック・ミュージシャンであるよりも表現者でありたいと思っていたのではないかと思います。音楽としての完成度よりは、自分たちが表現したい世界を演出するという部分での完成度を追求したのでしょう。当時の彼らにとって音楽は、そのためのたんなる手段という位置づけだったように感じます。
こういった、思想面や世界観を表現することを重視した、いくぶん無理めな曲展開や思わせぶりな歌詞といえば、プログレッシヴ・ロックにありがちなのですが、筋肉少女帯にもほのかなプログレッシヴ・ロックの匂いがあります。「アメリカン・ショートヘアーの少年」などはPink Floyd(ピンク・フロイド)的な印象が強いし、「元祖高木ブー伝説」ではパンキッシュなロックから突然シンフォニックな展開を見せたりもします。
彼らのファンの大半は、いわゆる「感受性の強い若い女性」だったと思いますが、プログレッシヴ・ロックのファンにも彼らの愛聴者が多いのも納得できます。
このアルバムはとくに演奏面や曲の配置、構成などに、プログレッシヴ・ロック色が強く感じられます。