testi e musiche di LUCA BONAFFINI
produzione artistica e arrangiamento di LELE BARLERA
Lele Barlera: pianoforte, tastiere, programmazione computer
Raffaele Chiatto: chitarre
Andrea Alessi: basso
Mauro Gherardi: batteria
Frank Nastri: percussioni
Luca Bonaffini(ルーカ・ボナッフィニ)がアルバムを何枚出しているのかは知らないのですが、有名カンタウトーレたちのカバーを収録した1997年のアルバム『Prima di oggi era gia' domani』は素朴な暖かみがあって、けっこう好きな作品でした。
あれから5年。イタリアのポップス・サイトなどでLucaの名前を見かけることはなく、また97年のアルバムがカバー集だったこともあって、ある種の企画盤的な扱いでアルバムを1枚だけリリースして消えてしまったのかなと思っていたのですが、こうしてオリジナル曲のみで構成された新譜を聴けて、うれしいかぎりです。
今回は作詞作曲もすべて自分で行なっており、カンタウトーレとしてのLucaの作品を楽しめるアルバムになっています。J.D.Souther(ジェイ・ディ・サウザー)にも通じるような、やさしく暖かい声とささやかな幸福を感じさせるフォーク・ソングは健在で、ここにLucaらしい魅力を感じます。M3「Santa Claus」やM9「Fate morgane」などは、その典型といえるでしょう。
一方、M4「Non di sabato」のようなリズミックな曲は、Lucaの持つヴォーカルの魅力を楽しむという点ではちょっと弱くもありますが、アルバムを構成するなかの1曲としては意味がありますし、けっして捨て曲ではありません。
M6「Il mare e la neve」ではサンプリングされたメロトロン(おそらく)が導入され、バッキングにもエレキ・ギターが使われるなど、Lucaの曲のなかではちょっと異色な印象です。チープなピアノとキーボードのアレンジも、ちょっと前時代的かもしれません。
M8「L'oasi dei nannufari」では落ち着いたアコースティック・ギターとピアノのバッキングにヴァイオリンが絡み、おだやかな哀愁が漂います。ここでもLucaのやわらかな声が、暖かく、夢見がちに、そして少し切なく響きます。
フォーク・タッチの曲を中心に、1980年代のアメリカン・ポップスを思わせるようなものもところどころに配され、アルバムが一本調子になるのを防いでいます。ただ、曲そのもののできはやはり、フォーク・タッチのもののほうがよいように思います。
ほんのりと幸せな雰囲気のある、聴いていて気分のよいアルバムです。これといって強い個性があるわけではありませんが、やさしい歌声は魅力的です。