PAVAROTTI & FRIENDS


TOGETHER FOR THE CHILDREN OF BOSNIA (1996年)

   パヴァロッティ&フレンズ / フォー・ザ・チルドレン・オブ・ボスニア
    (LONDON / POLYDOR K.K. / POLYGRAM K.K. POCL-1650 / 日本盤CD)



jacket photo   1: PER COLPA DI CHI? - Zucchero
    誰のせい?
  2: SERENATA RAP / MATTINATA - Luciano Pavarotti, Jovanotti
    セレナード・ラップ / マティナータ
  3: CAN WE GO HIGHER? - Nenad Bach
    僕たちは飛べるかい?
  4: ORDINARY WORLD - Simon Le Bon, Luciano Pavarotti
    オーディナリー・ワールド
  5: CLAP CLAP - Gam Gam, Piccolo colo dell'Antoniano
    クラップ・クラップ
  6: MISS SARAJEVO - Bono, The Edge, Brian Eno, Luciano Pavarotti
    ミス・サラエボ
  7: COSI CELESTE - Zucchero, Luciano Pavarotti, Piccolo coro dell'Antoniano
    こんなにすがすがしい
  8: RINGER - Dolores O'Riordan, Simon Le Bon
    リンガー
  9: COME BACK TO SORRENTO - Luciano Pavarotti, Meat Loaf
    帰れソレントへ
 10: PENSO POSITIVO - Jovanotti
    僕は前向き
 11: VESTI LA GIUBBA <from "PAGLIACCI"> - Luciano Pavarotti, Michael Bolton
    衣装をつけろ
 12: HEAVEN CAN WAIT - Meat Loaf
    天国からの招待状
 13: AVE MARIA - Dolores O'Riordan, Luciano Pavarotti
    アヴェ・マリア
 14: ONE - Bono, The Edge, Brian Eno
    ワン
 15: THE LONG BLACK VEIL <medley> - The Chieftains
    ロング・ブラック・ヴェイル(メドレー)
 16: FUNICULI, FUNICULA - Luciano Pavarotti, The Chieftains
    フニクリ・フニクラ
 17: NESSUN DORMA <from "TURANDOT"> - all singers
    誰も寝てはならぬ


Pavarotti & Friends singers;
BRIAN ENO, BONO and THE EDGE, DOLORES O'RIORDAN, GAM GAM, JOVANOTTI, MEAT LOAF, MICHAEL BOLTON, NENAD BACH, SIMON LE BON, THE CHIEFTANS, ZUCCHERO

L'Orchestra Filharmonica di Torino conducted by
MICHAEL KAMEN and MARCO ARMILIATO

Piccolo coro dell'Antoniano directed by MARIELE VENTRE

live recorded at PARCO NOVI SAD, MODENA, September 12, 1995.
produced by MIKE WOOLCOCK







 1995年に行なわれた第3回目のPavarotti & Friends(パバロッティ・アンド・フレンズ)コンサートのライヴ盤です。
 Pavarotti & Friendsは、イタリア・テノールの巨匠、Luciano Pavarotti(ルチアーノ・パヴァロッティ)がその人脈を生かし、クラシック以外のジャンルからも幅広くアーティストを招待して一緒にコンサートを行なうもので、1992年の第1回目以降ほぼ毎年、行なわれているようです。

 このCDに収録されている第3回コンサートは、内戦で傷ついたボスニアの子供たちを救おうという、チャリティ・コンサートの側面も持っています。参加したアーティストや演奏された曲も基本的に、戦争になんらかの関わりがあったり、反戦を訴えているようなものが選ばれたようです。

 今回のステージでは、イタリアからはLuciano以外にZucchero(ズッケロ)とJovanotti(ジョヴァノッティ)が参加しています。他の国からはBrian Eno(ブライアン・イーノ)やU2(ユー・トゥー)のBono(ボーノ)とthe Edge(ジ・エッジ)、Duran Duran(デュラン・デュラン)のSimon Le Bon(サイモン・ル・ボン)、それにドラマティカル・ロックの大御所、Meat Loaf(ミート・ローフ)と、かなり豪華です。
 ちなみに、日本盤CDのブックレットではMeat Loafをイギリスのアーティストと紹介していますが、彼はアメリカ出身なはずです。ほかにもこのブックレットでは、Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)を“ボッチェリ”と表記してあったり、LucianoとZuccheroが共演したZuccheroのアルバム『Miserere(ミゼレーレ)』を『ミゼーレ』と紹介していたり、当時すでに高い人気を得ていたはずのJavanottiのことを知らなかったりと、書き手の知識はかなりいいかげんかつ貧弱なようで、資料としてはあまり信頼できない感じです。

 このコンサート、根底に「サラエボの子供たちを救おう」という共通テーマがあるとはいえ、集まったアーティストたちはそれぞれ、国境も違えば、演奏する音楽のタイプも違うので、ひとつのイベントとして全体を聴いた場合には、あまり統一感がありません。
 しかし、それぞれの曲は、単体としてクオリティの高いものばかりで、オムニバス的に楽しめます。

 収録曲のおよそ半分にLucianoも参加して歌っており、ポピュラー系のシンガーとテノール歌手との共演が聴けます。それにより、もともとの曲とは違ったドラマティックさが表現され、新たな魅力を感じさせられます。
 なかでも、LucianoとSimon Le BonのデュエットによるDuran Duranのヒット曲「Ordinary World」におけるLucianoのパートでは、思わず感動で涙が出そうになりました。この曲って、こんなにいいメロディを持っていたのですね。
 ただ、イタリア語に訳された歌詞の一部がうまくリズムに乗り切れず、もたもたした感じがあったのが残念です。というか、意外とLucianoってリズム感があまりよくないようで、いろいろな曲で歌と演奏の間に少し、リズムのズレを感じます。
 そして、それ以上にこの曲で残念だったのは、LucianoとSimonの声の相性の悪さです。他の出演者とのデュエットではほとんど気にならないのですが、Simonとのデュエットは、おたがいにとってよいところがありません。

 共演者のなかで、もっとも声の相性がいいのはZuccheroかもしれません。ファンキーなR&Bを得意とするZuccheroとテノール歌手Lucianoの相性がいいというのも不思議な感じですが、すでにZuccheroの曲「Miserere」でふたりは共演していますし、おなじイタリア人同士ということで通じるところがあるのかもしれません。
 他の出演者では、Michael Bolton(マイケル・ボルトン)、Dolores O'riordan(ドロレス・オリオールダン。クランベリーズというグループのヴォーカリストだそうです)、それにBonoの熱演が印象的でした。

 イベントを収録したライヴ盤ということで、あまり期待せずに入手したCDですが、思った以上に楽しめました。

(2000.10.15)








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