1: LET IT RAIN - Jon Bon Jovi, Luciano Pavarotti
レット・イット・レイン
2: STOP - Spice Girls
ストップ
3: HOW DO I LIVE WITHOUT YOU - Trisha Yearwood
ハウ・ドゥ・アイ・リヴ
4: I HATE YOU THEN I LOVE YOU - Celine Dion, Luciano Pavarotti
アイ・ヘイト・ユー・ゼン・アイ・ラヴ・ユー
5: HIGHER GROUND - Stevie Wonder
ハイアー・グラウンド
6: 'O SURDATO 'NNAMMURATO - The Corrs, Luciano Pavarotti
恋する兵士
7: SE BASTASSE UNA CANZONE - Eros Ramazzotti, Luciano Pavarotti
もう一曲だけ
8: BETCHA NEVER - Vanessa Williams
ベチャ・ネヴァー
9: VIVA FOREVER - Spice Girls, Luciano Pavarotti
ビバ・フォーエヴァー
10: VA, PENSIERO - Zucchero, Luciano Pavarotti
行け、わが想いよ、金色の翼に乗って
11: NAPULE E' - Pino Daniele, Luciano Pavarotti
ナポリ
12: UNE PLACE POUR MOI - Florent Pagny
おれの居場所
13: NON TI SCORDAR DI ME - Vanessa Williams, Luciano Pavarotti
忘れな草
14: TONIGHT - Natalie Cole, Luciano Pavarotti
トゥナイト
15: DREAMS - The Corrs
ドリームス
16: ADESTE FIDELES - Trisha Yearwood, Luciano Pavarotti
紙の御子は今宵しも
17: PEACE WANTED JUST TO BE FREE - Stevie Wonder, Luciano Pavarotti
ピース・ウォンテッド・ジャスト・トゥ・ビー・フリー
Pavarotti & Friends singers;
JON BON JOVI, NATALIE COLE, THE CORRS, PINO DANIELE, CELINE DION, FLORENT PAGNY, EROS RAMAZZOTTI, SPICE GIRLS, VANESSA WILLIAMS, STEVIE WONDER, TRISHA YEARWOOD, ZUCCHERO
L'Orchestra Filarmonica di Torino conducted by
MARCO BOEMI and JOSE MOLINA
Corale Voci Bianche - G.Verdi directed by SILVIA ROSSI
Liberian Children's Choir directed by EDWIN GIBSON
live recorded at PARCO NAVI SAD, MODENA, June 9, 1998.
produced by PHIL RAMONE
1998年のPavarotti & Friends(パヴァロッティ・アンド・フレンズ)チャリティ・コンサートは、西アフリカの国リベリアに戦災児のための「子供の村」を建設するための資金集めが、ひとつの目的になっています。そういった目的とは別に、3大テノールのひとり、Luciano Pavarotti(ルチアーノ・パヴァロッティ)とイタリア内外のトップ・アーティストが集う音楽イベントとして、多くの人に愛されています。
今回の参加者はLuciano以外に、Jon Bon Jovi(ジョン・ボン・ジョヴィ)、The Corrs(ザ・コアーズ)、Celine Dion(セリーヌ・ディオン)、Spice Girls(スパイス・ガールズ)、Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)、Pino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)、Eros Ramazzotti(エロス・ラマッゾッティ)、Zucchero(ズッケロ)と、相変わらず豪華な顔ぶれです。
しかし、それにもかかわらず、個人的には1996年の『Together for the Children of Bosnia』ほどには聴いていて感動がありません。
その理由は、ひとつには自分の苦手な「女性シンガー」の比率が高いというのもあるでしょう。でも、それ以上に、参加者(曲)が、ヨーロッパ的な重み、深みのあまりない、英米の流行歌的なものが多いからだと思います。そして、そういった曲とLucianoのオペラ歌唱が、あまりマッチしていないように思えるのです。
たとえばCeline Dionは優れたヴォーカリストだと思います。また、ステージでは演奏されたそうですがCDには収録されなかった映画『タイタニック』のテーマ曲「My Heart Will Go On」は、一般的にはドラマティックで感動的な曲なのでしょう。
しかし自分はそこに、底の浅い、うそ臭いドラマティックさを感じてしまうのです。そういった、いかにも売れ筋的な「よい曲」が、この回のPavarotti & Friendsには多すぎるように思います。
また、Stevie Wonderなども、もとからそういった音楽のなかで聴けばよいのでしょうが、多分にヨーロッパ的な雰囲気を持ったLucianoとのデュエットは、おたがいの良いところを打ち消しあっているように感じます。
その点、Pavarotti & Friendsの常連ともいえるZuccheroは、ファンク・シンガーとして著名でありながらも、ベースに同じイタリアの血があるからか、Lucianoとの相性はバッチリです。
一方、同じイタリアの血を持ちながらも、Eros RamazzottiとLucianoはまったく合いません。Erosの曲にはヨーロッパ的なドラマティックさや艶があまりないためだともいえますが、それ以上に、Erosの声とオペラ・ヴォイスとの相性の悪さのほうが大きいでしょう。
そのわりにErosはオペラ・ヴォイス好きなのか、自身のアルバムにAndrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)を招待したり、逆にAndreaのアルバムにゲスト参加するなどしてデュエットを聴かせていますが、成功しているとは思えません。
個人的に、このアルバムでの聴きどころは、Pino Danieleの名曲「Napule e'」にあります。もともと淡々としていながらもメロディの美しい、おもむきのある曲ですが、Lucianoのオペラ・ヴォイスが加わることで、いっそう艶のある、ドラマティックなものとなっています。
Pinoのデヴュー・アルバムに収録されたこの曲は、オリジナルではナポリに住む庶民のつつましい暮らしが情景として目の前に浮かぶようなものでしたが、Lucianoの声が加わったことで、浮かび上がる生活に信心深さが加味されたように感じます。
全体としては、自分には楽しみどころの少ないこの年のPavarotti & Friendsですが、「Napule e'」1曲でCD代(といっても中古で1000円で買ったのだけど)の半分くらいは取れたように感じます。