prodotto da Marco Bellotti
Marco Bellotti: chitarra, basso, tuba, tromboni, piano, batteria
batteria: Salvatore Scorrano, Alessandro Tibaldi, Sergio Bellotti
percussioni: Nei Nei
basso: Giulia Catena
contrabasso: Emanuele Brignola
piano: Vittorio Cosma
hammond: Marco Moltoni
tamburello: Carlo De Pacali
voce: Federico Zampaglione
Marco Bellotti(マルコ・ベッロッティ)、初めて聞く名前です。何者なのでしょう? ミニチュアの部屋のセットにハムスターが2匹というジャケットとアルバム・タイトルにふらふらぁ〜っとひかれて買ってしまったアルバムですが、これがなかなかいいのです。
こういう音楽は、どういうジャンルに入るのでしょうか。フォークのような、ポップスのような、ロックのような、なんだかとらえどころのない、だけどそのとらえどころのなさがとても心地いい。
Marcoはとても個性的な歌声を持っていて、普通に歌っていてもかなり特徴的なのですが、ファルセットも多用するのです。ファルセット多用というとMango(マンゴ)などを思い出しますが、Mangoのように甘くはならず、ちょっと不思議な浮遊感、現実離れした感じを演出するのに役立っています。
そして演奏が、さまざま。それも、1曲のなかで。ニューウェーヴ風だったり、ボサノバ風だったり、ほんのりジャズ風だったり、クリーンだったりハードだったり... そうか、イギリスのカンタベリー・ミュージックに似た感じなのかもしれません。といってもカンタベリー直系じゃなくて、Talk Talk(トーク・トーク)の『Laughing Stock』のような、カンタベリーの旨みエッセンスを上手に取り込んだポップ・ロックといった感じでしょうか。
そして、ファルセット。自分は20年くらい前に活動していた日本のプログレッシヴ・ロック・グループ、ピカレスク・オブ・ブレーメンのアルバム『Tales of an Alchemist』(だったかな。タイトルうろ覚え)を思い出してしまいました。彼らからUriah Heep(ユーライア・ヒープ)風なところをのぞいたような、ピカレスク・ミーツ・カンタベリーみたいな、そんな感じ。でも、ネットでMarcoのことをちょっと検索したら、Ivan Graziani(イヴァン・グラツィアーニ)の名前を挙げている人がいて、なるほど、MarcoのファルセットはMango系というよりはたしかにIvan系かもしれません。
世俗とアートのあいだをいったりきたりするような縦横無尽な演奏のうえに独特の個性を持った地声と裏声を響かせるMarco。いわゆるポップス作品ともロック作品ともカンタウトーレ作品ともちょっと違う、一風変わった音楽ですが、これがなんとも気持ちがいいし、楽しいのです。歌詞にMax Gazze'(マックス・ガッツェ)の名前が出てくるM2とか、カンタベリー風味が強く感じられるM5とか、好きだわぁ。こういうことがあるから、いわゆるジャケ買いがやめられません。
ちなみに「Il treno」という曲ではTiromancino(ティロマンチーノ)のFederico Zampaglione(フェデリコ・ザンパッリォーネ)とデュエットしています。それと、「Scuro, A Mangiare!」という曲はMarcoの愛犬のScuro(スクーロ)にささげられています(どうでもいいですね)。