prodotto da SERGIO COSSU
MATIA BAZAR;
Laura Valenti: voci
Sergio Cossu: chitarre e tastiere
Aldo Stellita: basso
Giancarlo Golzi: batteria e percussioni
ospiti;
Carlo De Bei (UNARAZZA): chitarre
Pasquale Laino: tin flute
Paolo Vidaich: percussioni
自分にとってMatia Bazar(マティア・バザール)は基本的に好きなグループで、それは歌姫がAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)からLaura Valente(ラウラ・ヴァレンテ)に変わり、さらにSilvia Mezzanotte(シルヴィア・メッツァノッテ)に変わっても同じなのですが、その理由は、ヴォーカルが誰であろうと、根底にある音楽そのものにMatia Bazarらしさというか、変わらないなにかがあるからではないかと思います。
もちろん、フロント・パーソンであるヴォーカリストの与えるインパクトは強く、とくに初代歌姫のAntonellaはグループに15年も在籍し、そのうえイタリアでも1、2を争う個性を持った強力なヴォーカリストでしたから、その後を引き継いだLauraやSilviaは少しばかり分が悪いともいえるのだけど、それでも彼女らなりにMatia Bazarの音楽を表現していたと思います。
さて、1997年にリリースされたこのアルバムは、2代目歌姫であるLaura在籍時のものですが、このアルバムについてはどこか少し、Matia Bazarの音楽と違う気がするのは自分だけでしょうか。
Laura参加後の最初のアルバム『Anime pigre』(1992)はAntonellaの影を引きずっていた部分もあり、これまでのMatia Bazarの印象を強く残しつつ、よりやわらかでなめらかなポップスに仕立てあげられていたのですが、それから5年経ったこのアルバムでは、よりロック的な面が強調されているように思います。
ラウドめに録音されているバス・ドラムやベースなど、これまでのMatia Bazarにくらべると音に重さがあるような気がするのです。曲も、どこかミステリアスだったりと、「影」を感じさせるものがあります。
もちろん、従来ながらの曲もあるのですが、アルバム全体を聴き通したあとの印象が、なんとなく重くねばっこいのです。
こういった感覚は、Matia Bazarのアルバムにはめずらしいのではないでしょうか。それはそれで、ひとつの表現だとは思いますが、Matia Bazarならではの魅力といった点では、ちょっとどうかなという気がします。
Lauraのヴォーカルも、このアルバムでは演奏のなかに溶け込んでいて悪くはありませんが、こういったタイプの音楽では逆に、演奏に溶け込むのではなくヴォーカリストの個性というものを強く出し、ヴォーカルで性格づけをしたほうが魅力的ではないかと思います。
たとえば「Sausalito」は抑制のきいたロック・スタイルの曲ですが、こういった曲をやるのであれば、Lauraのヴォーカルは少し弱いのではないでしょうか。考えてはいけないのだけど、やはりAntonellaが歌ったらどうだったろうという気持ちが浮かんでしまいます。
一方、「Sotto il cielo del destino」はウィスパー風のヴォーカルを使っていて、これもMatia Bazarの曲のなかではめずらしい気がします。
この曲でのLauraは独特の色気とウェットな感じを表現していて、Matia Bazarの新しい面を見せてくれていますが、このスタイルがMatia Bazarの音楽のなかで広がっていくことはなかったようです。