produced by PIERO CASSANO and GIANCARLO GOLZI
Silvia Mezzanotte: vocals
Fabio Dervesi: keyboards, violin
Piero Cassano: keyboards, guitars
Giancarlo Golzi: drums, percussion
1976年にアルバム・デヴューして以来、現在も現役で活動を続けているMatia Bazar(マティア・バザール)。この間に20枚ほどのアルバムをリリースしていますが、ライヴ・アルバムはこれがはじめてというのが少し不思議な感じです(セカンド・アルバム『Granbazar』はLPの片面がライヴ収録でしたが、もう片面はスタジオ収録でした)。
2002年のサンレモ音楽祭参加曲(そして、この年の優勝曲)であるM1「Messaggio d'amore」と、続くM2「Ritmo della luna」はスタジオ収録の新曲、M3以降は2000年のBrivido Caldo tourと2001年のDolce Canto tourからのライヴ収録となっています。
ライヴでは「Stasera che sera」や「Cavallo bianco」といった初期の曲から「Vacanze romane」や「Ti sento」といったおなじみの曲、そして「Brivido caldo」や「Questa nostra grande storia d'amore」といった最近の曲まで、まんべんなく演奏されています。
Antonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)がヴォーカルだったころの曲では、どうしてもAntonellaと現歌姫であるSilvia Mezzanotte(シルヴィア・メッツァノッテ)のヴォーカルを比較してしまいますが、Silviaはとくに気負うことなく、のびのびと歌っているように感じます。
Antonellaの歌には、どこかきらきらとした光の粒が空から降ってくるような、天上の輝きのようなものを感じることが多くありましたが、Silviaの歌にはもっと世俗に近い、身近な安心感と安定感があります。そしてそれが、Antonella時代の曲にもSilviaなりの魅力として発揮されているように思います。
とはいってもやはり、旧曲と最近の曲とでは、最初からSilviaが歌うことを前提につくられたのであろう最近の曲のほうが、Silviaの声質やヴォーカル・スタイルに合っています。Silviaの歌が曲自体の魅力を十二分に発揮するのは、やはりSilvia参加後の曲だといえます。
逆にいえば、Antonella時代の曲はやはりAntonellaのヴォーカルでライヴが聴きたいところです。
しかし、そういったことを差し引かなくても、長期にわたって人気グループであるMatia Bazarの魅力が充分に伝わるライヴ・アルバムだと思います。
スタジオ収録のM2が終わり、ライヴ収録のM3「C'e' tutto un mondo intorno」の演奏が始まる前の観客のアカペラによる「Brivido caldo」のサビの合唱が聞こえてきただけで、もうMatia Bazarの世界に入っていけてしまいます。
演奏自体は少しあっさりめで、とくにドラムはリズムマシーンの単調さが目立ってしまうところもありますが、その分をPiero Cassano(ピエロ・カッサーノ)のキーボード・ワークとSilviaの歌が十分に補っています。できれば、やはり専属のギタリストがほしいところではあります。