MATIA BAZAR


LIVE@RTSI (2002年)

   マティア・バザール / ライヴ・アット・RTSI
    (RTSI TELEVISIONE SVIZZERA/SONY MUSIC ENTERTAINMENT: 505108 2 / オランダ盤CD)



    jacket photo
  1. CAVALLO BIANCO
  2. STASERA CHE SERA
  3. TU SEMPLICITTA'
  4. ITALIAN SINFONIA
  5. C'E' TUTTO UN MONDO INTORNO
  6. SOLO TU
  7. RICORDI
  8. COME UN FIORE
  9. IL TEMPO DEL SOLE
  10. SIGLA MATIA BAZAR


i concerti live @ RTSI televisione svizzera, 20 Maggio 1981

Aldo Stellita: basso
Giancarlo Golzi: batteria
Antonella Ruggiero: voce
Carlo Marrale: chitarra
Pierangelo Cassano: tastiere








 「Cavallo bianco」からスタートする、Matia Bazar(マティア・バザール)の1981年のライヴを収録したアルバム。この曲は彼らが1986年に来日したときに生で聴いたけど、この頃のほうがドラミングが凝っていて、いろいろやっているように感じます。

 この曲に限らず、来日のときのドラミングはけっこうシンプルだったと思います(新聞には「単調なドラム」というライヴ評が載りました)。逆にキーボードは、このアルバム時点のほうがシンプルというか、後年に行くに従って存在感と重要度を高めていっている気がします。

 この当時の歌姫はもちろんAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)ですが、実は初期のころのMatia Bazarは、Antonella以外の男性メンバーがメイン・ヴォーカルをとることがけっこうありました。

 Antonellaという優れたタレントがいたために、だんだんと歌姫Antonellaをフロントにすえた女性ヴォーカルのポップス・グループというスタイルが強まってくるのですが、このライヴの当時はまだ男性ヴォーカルの比重も高く、それがかえってヴォーカルにヴァラエティ感を持たせています。また、男声と女声の対比や混声コーラスも聴かれることから、よりドラマ性が高まり、イマジネーションも広がり、曲に深みと厚み、奥行きを与えます。

 もちろん、Antonellaのヴォーカルは透明で力強く、空に突き抜けるような伸びがあり、文句なくすばらしいのですが、そこに重なる、あるいは前後に聴かれる男性陣のヴォーカルも、なかなかに味わい深くあります。M5「C'e' tutto un mondo intorno」でのヴォーカルの掛け合いなど、後期にはなかなか聴けません。

 Matia Bazarのオフィシャルなライヴ・アルバムとしては、ほかにも2002年の『Messagi dal vivo』がありますが、ギタリストのCarlo Marrale(カルロ・マッラーレ)脱退後、パーマネントなギタリストを迎え入れていないMatia Bazarによる『Messagi dal vivo』よりは、Carloのいる(ギターのパーマネント・メンバーがいる)この『Live@RTSI』のほうが、やはり演奏に幅と厚みがあります。

 スタジオ・アルバムでもそうですが、キーボードやギターといった、メロディと和音をつかさどる楽器が正式メンバーとしてクレジットされているか、それともゲストかによって、演奏の幅や奥行きに少なからぬ違いがあると思います。キーボード好きなギター弾きだった自分としてはやはり、ギターとキーボードの両方がよいバランスで絡み合う演奏が好きです。その点で『Messagi dal vivo』よりは、この『Live@RTSI』のほうが自分にとって好ましいライヴ・アルバムといえます。

 また、1970年代から80年代頃のMatia Bazarの曲は、最近のものにくらべると展開に無理矢理なところがあって、そこがイタリアン・ロックぽくもあり、魅力的です。最近のなめらかなポップスもいいのですが、この頃の曲のほうが心に残るものが多い気がします。

 Matia Bazarの正式なライヴ音源としては、デヴュー当時のものが1977年にリリースされたセカンド・アルバム『Granbazar』のA面(CDだと最初の3曲)に、1980年代はじめのものがこの『Live@RTSI』で、そして2000年代はじめのものが『Messagi dal vivo』で聴けるわけですが、思えばどれもPiero Cassano(ピエロ・カッサーノ)在籍時のものばかりです。次はぜひ、1990年代はじめあたりの、Pieroのいない、しかしMatia Bazarが充実していた時期や、2代目歌姫のLaura Valente(ラウラ・ヴァレンテ)在籍時のライヴ盤なども期待したいところです。

(2003.01.26)







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