MATIA BAZAR


...BERLINO...PARIGI...LONDRA (1981年)

   マティア・バザール / ベルリノ・パリジ・ロンドラ
    (VIRGIN DISCHI: 0 0777 7 88111 2 1 / イタリア盤CD)



jacket photo
  1. LILI MARLEEN
  2. IO TI VOGLIO ADESSO
  3. PASSA LA VOGLIA (Look at the rain fall)
  4. CHE CANZONE E'
  5. FORTUNA
  6. FANTASIA
  7. STELLA POLARE
  8. ZETA
  9. FUORI ORARIO
  10. ASTRA


produzione: M. Salvadori
arrangiamenti: Matia Bazar








Matia Bazar(マティア・バザール)のオリジナル・メンバーで、曲づくりの中心人物でもあったPiero Cassano(ピエロ・カッサーノ)脱退後にリリースされた最初のアルバム(Pieroは1999年に復帰しています)。それまでのダイナミックかつドラマティックなポップ・ロック・サウンドを残しつつも大胆にテクノ・ポップ・アレンジを導入し、ずいぶんと印象が変わりました。

M1「Lili Marleen」はたしか、このアルバムと同じタイトルの日本独自編集盤ではB面の最後に収録されていたように記憶しています。そのためか、この曲を聴くと、なんだかもうアルバムが終わってしまうような気がします(笑)。Marlene Dietrich(マルレーネ・ディートリッヒ)などで有名な曲ですが、テクノ・アレンジが施されたこのアルバムのなかでも、もっともテクノ・ポップ風味の強いアレンジになっています。

M2「Io ti voglio adesso」は、イントロのころころとしたエレクトリック・ピアノの音がとても可愛らしいですね。メロディがなめらかにつながらず、展開や構成に予定調和を見つけにくい、だけど緩急のドラマがあって美しい独特のヴォーカル・ラインは、Antonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)時代のMatia Bazarの曲以外ではなかなか聴けない気がします。

M3「Passa la voglia (Look at the rain fall)」ではイントロがスペーシーなシンセサイザー・プログレッシヴ・ロック風。ヴォーカル・パートに入ると、空気の澄んだ明け方の青い空のような爽やかな風が吹きます。

M4「Che canzone e'」はリズムの強調されたポップ・ロック。Antonellaのヴォーカルにはおてんば娘のような元気な可愛らしさがあり、楽しいです。曲の途中に、フィルターかヴォコーダーかなにかをかけたマイクでアルファベートを唱えるパートがあるのですが、この部分のバックで演奏されているギターのメロディは、あとの曲でまた出てきます。

M5「Fortuna」は、イントロの部分を聴くとM1と同傾向のテクノ・ポップかなと思うのですが、ヴォーカル・パートへ入っていくとMatia Bazarらしいなめらかなポップスへと変わっていきます。1コーラスめでは男性ヴォーカル(誰かしら?)、2コーラスめからはAntonellaへとチェンジして、ヴォーカルの変化もつけています。ディストーションのかかっていないエレキ・ギターの音も好ましく感じます。

M6「Fantasia」はこのアルバムのなかでもなかなか魅力的な曲。デジタルなシンセサイザーの音とクリーンなエレキ・ギター。男女によるヴォーカルの掛け合い。いくぶんシリアスな感じの歌メロ。ヒューマン・ヴォイスを使った空間を感じさせるコーラス。M4の途中で出てきたギターのメロディが、ここでまた導入されています。

M7「Stella polare」は、個人的にこのアルバムのなかでもっとも好きな曲。ゆったりとしたメロディに乗るAntonellaの伸びやかな歌声が空高くまで届いていくようです。無限の空間が広がる夜空を眺めているような印象でしょうか。バックの演奏が意外と可愛らしくて、これもまた魅力的。

M8「Zeta」はピアノによる独奏。ほんのりクラシカルな雰囲気はありますが、とくにどうといったことのない曲のように思います。ピアノの音色に艶がないのが残念。

M9「Fuori orario」はアップ・テンポのロック。がちゃがちゃしたエレキ・ギターの音は気持ちいいのですが、白玉中心のキーボード・アレンジは平凡でいただけない感じです。曲調的にはMatia Bazarの前身グループともいえるJ.E.T.(ジェット)の面影が見える気がします。

M10「Astra」はこのアルバムで2曲目のインストゥルメンタル。オルゴールのねじを巻くSEから始まるので、ファンタジックな感じになるのかなと思いきや、スペーシーなシンフォニック・プログレッシヴの香りが漂う曲でした。キーボード・オーケストレーションをバックに気持ちよくメロディを奏でるギター。後半部ではピアノとAntonellaのスキャットも入ります。どことなくセカンド・アルバム『Granbazar』のころの彼らを思い出しました。

(2007.09.09)







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