arrangiamenti e produzione: Paolo Dossena
この人のこと、ぜんぜん知らないのですが、BMGのGli indimenticabiliシリーズの再発はハズレがほとんどないし、プログレッシヴ・ロックのファンにもおすすめといったコメントをどこかで見たので購入しました。
はい。今回も正解でしたよ。Amedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)の古いアルバムとかPaolo Frescula(パオロ・フレスクラ)とかが楽しめるプログレッシヴ・ファンなら、Maurizio Monti(マウリツィオ・モンティ)のこのアルバムも、きっと楽しめるでしょう。
Maurizioという名前のとおり、この人は男性なんですが、声はちょっと高くて、なんだか女性ぽいです。そのうえ、少し割れてる。Loredana Berte'(ロレダーナ・ベルテ)とかGianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)とかがおだやかに歌っているときの声に近いような気がします。個性的な声質・歌い方で、あまり力を込めて歌い上げたりということはないのですが、感情が豊かに伝わってくる感じです。べたべたと甘くなったり、なんだか暗くなったりすることのない、やわらかな哀愁を漂わせています。
また、このアルバムではキーボードがいいですね。少しざらざらした音色で、大げさにならず、かといってスカスカにもチープにもならず、上手に曲を盛り上げています。曲自体はフォーク・タッチで地味な感じのものが多いのですが、ほどよくドラマティック&シンフォニックなキーボード・オーケストレーションによって、味わいと広がりのあるものに仕上げられています。
曲によってはLa bottega dell'arte(ボッテガ・デッラルテ)やCollage(コッラージェ)などのようなコーラス系ラブソング・グループが演奏しそうなものもあります。頼りなげに「amore 〜」と歌う曲などは、思いっきりイタリアン・ラブソングど真ん中。このあたりもイタリアン・プログレ者の心をくすぐります。
全体的にはフォーク・ベースの地味なアルバムですが、どことなくふわふわとした感じがあり、そこはかとなくサイケデリック、ほどよくシンフォニック。生粋のプログレッシヴ・ロック・ファンやイタリアン・ロック初心者にはすすめませんが、プログレッシヴ・カンタウトーレ系の作品が好きな人ならきっと楽しめる作品だと思います。