1: FANTASIA
2: PER SEMPRE TUA SARO
3: IL LETTO DEGLI AMANTI
4: PICCOLA MAMMA
5: QUAND'ERO BAMBINO
6: DINT'E MANE
7: MEZA CANZONE
8: IL CAMMINO DELL'AMORE
9: MARE DI CAREZZE
10: CALDO D'INVERNO
いまはなき東京・新宿のプログレ専門店「エジソン2F」で買ったアルバム。店側の簡単なコメントつきで売られていたのと、マーキーの『イタリアン・ロック集成』でも紹介されているので、プログレ・ファンのあいだではそれなりに認知度があるアルバムかもしれない。
しかし、ニーノ・ダンジェロといい、ピーノ・ダニエーレ(Pino Daniele)といい、ちょっとこもった感じの声というのは、ナポリ出身者の特徴なのだろうか。
これが何枚目のアルバムなのかはわからないけれど、かなりの数のアルバムを出しているカンタウトーレ。もともとナポリのマイナー・レーベルに所属していて、それなりに売れるまでにずいぶん時間がかかったらしい。
夜の砂漠(?)で裸の男女が寄り添って座っている、水彩画ふうのジャケットはとてもロマンティック(アルバムタイトルは、「愛の歩み」とでも訳すのだろうか)で、非常に期待させるものがあるのだけど、実際に聴かれる曲は、意外と軽やか。もちろん、甘くて美しいメロディもあるのだけど、大仰さはなく、聴きやすいポップスになっている。
暖かみのあるこもった感じの声が、とても優しい。熱唱型、絶叫型ではないけれど、これもやはりイタリア。
ただ、年代柄か、妙にバックの演奏がデジタリック。音像がスッキリ・ハッキリしているのはいいけれど、彼のようなタイプの声には、あまり合わないのではないかな。シンセサイザーの音が、ちょっと耳につきすぎる。
非常に人間的な声を持ったシンガーなので、アナログのオーケストラのほうが、声に馴染むだろう。典型的なイタリアン・バラードの「il Letto degli Amanti」(「愛人たちのベッド」か。まんまなタイトルだ ^^;)や「Meza Canzone」なども、バックがシンセでなかったら、もっとロマンティックになっただろうに。
先日、彼のベスト盤を手に入れた。それには1982年、83年、86年、91年の曲が収録されているらしいのだけど、もっとアナログっぽい、暖かい感じの曲が多かった。80年代中頃までは、あまりデジタルを使っていなかったのかもしれない。
アメデオ・ミンギ(Amedeo Minghi)のアルバムなども、80年代終わり頃からデジタルな音が増えてくるけれど、イタリア音楽界の流れがそうだったのかな。
東京・高田馬場にあるユーロ・ポップスの専門店 Casa Bianca には、いつ行ってもニーノのアルバムが5〜6枚はあったように思う。ただ、このアルバムのようにロマンティックなジャケットのものは他になく、彼の写真をベースにした、ベスト盤のようなジャケットのものばかりだった。
Casa Bianca にあるものがオリジナル・アルバムなのかベスト盤なのかわからないが、できれば80年代中頃以前のオリジナル・アルバムを聴いてみたい。もっと暖かく、やわらかな音に出合えそうに思う。