NICCOLO' FABI


SERENO AD OVEST (2000年)

   ニッコロ・ファビ / セレーノ・アドヴェスト
    (VIRGIN MUSIC ITALY / EMI: 7243 8 49091 2 3 / EU盤CD)



jacket photo
  1. QUALCOSA DI MEGLIO
  2. SE FOSSI MARCO
  3. ACQUA
  4. ZEROSEI
  5. SCHERZO
  6. LA POLITICA
  7. SEMBRAVI
  8. LUNEDI'
  9. 10 CENTIMETRI
  10. IL MIO STATO


scritto e prodotto da Niccolo' Fabi
arrangiato da Niccolo' Fabi e Danilo Pao

Niccolo' Fabi: chitarra, basso, batteria, pianoforte, tastiere, voci
Danilo Pao: chitarra, programmazione
Gianluca Vaccaro: editing Pro Tools

Lorenzo Feliciati: basso
Massimo Rosari: batteria
Clemente Ferrari: tastiere
Francesco Valente: chitarra classica








Niccolo' Fabi(ニッコロ・ファビ)、1968年5月16日ローマ生まれ。Premiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)やデビュー当時のAlberto Fortis(アルベルト・フォルティス)のアルバムなどで知られる名プロデューサー、Claudio Fabi(クラウディオ・ファビ)の息子のようです。6歳のころには(おそらく父に連れられて)PFMの楽屋とかに出入りしていたらしい。

彼のアルバムは以前、デビュー作の『Il giardiniere』(1997年)を聴いたことがあるのですが、これが自分にはいまいちピンと来ない作品でして、その後すっかり彼のことを忘れていました。なんか、中途半端にエレ・ポップ風味の強いアレンジで、歌メロにもあまり魅力を感じられなかったように記憶しています。

この『Sereno ad ovest』は2000年にリリースされた彼のサード・アルバムで、たまたま安く売っていたので、試しに買ってみました。もしかしたら少し作風とか変わっているかなと思いまして。そしたらね、これがけっこう心地よいんです。微妙なエレ・ポップ風味というかチープなシンセサイザーのアレンジは多少残ってはいるのですが、全体にオーソドックスなポップスになっているように思います。派手さはないのだけど、Niccoloのちょっと弱々しげなやさしい歌声が生きるような、ミディアムからミディアム・スローのやわらかい曲が中心になっています。

M2「Se fossi Marco」はイントロにエレ・ポップ風味が感じられますが、曲自体は軽快なポップス。この曲や、M5「Scherzo」などは、イタリアというよりは英米のポップ・センスがベースなのだけど、そこにある種の大陸的なおおらかさとやわらかさが加わった感じです。こういった感じ、何かに似てる気がすると考えていたのですが、もしかして、ニュージーランドのSplit Enz(スプリット・エンズ)などに通じる印象があるのかもしれません。

M3「Acqua」ではTiziano Ferro(ティツィアーノ・フェッロ)などに代表される、最近イタリアで増えているR&Bの雰囲気があり、このアルバム内では多少異色気味にシビアな雰囲気を持ったM9「10 centimetri」はスロー・ジャズを感じさせます。

M6「La politica」はフォーク・タッチのやわらかでゆっくりした曲なのですが、シンセサイザーのアレンジが古いブリティッシュ・ポップス風というか、なんとなくSoft Cell(ソフト・セル)を思い出しました。一方M8「Lunedi」はスライド・ギター入りの軽快なポップ・ロックで、こちらは古いアメリカの香りですね。

自分の好み的には、M1「Qualcosa di meglio」やM4「Zerosei」あたりの、おだやかなポップスが好きかな。アコースティック・ギターの素朴なストロークにのせて、さりげない感じのやさしいメロディをやわらかな声で歌っています。聴いていて穏やかな気分になります。

比較的淡々としたメロディ展開・曲構成のものが多く、その点で「熱心に聴きこむ」といった感じにはなりにくいのですが、逆にいえば押し付けがましさがないので、日常のさりげないBGM等にはよいように思います。一生懸命聴かなくていい、だけどかかっているとなんだか心地よい音楽ですね。このあとのアルバムもちょっと興味が出てきました。

(2007.07.29)







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