NEK


LEI, GLI AMICI E TUTTO IL RESTO (1997年)

   ネック / ネック
    (WEA / WARNER MUSIC WPCR-1949 / 日本盤CD)



jacket photo   1: LAURA NON C'E'
    ラウラ
  2: SEI GRANDE
    グレイト・イグジスタンス
  3: RESTIAMO QUI
    ステイ・ヒア
  4: VIVERE SENZA TE
    ライフ・ウィズアウト・ユー
  5: TU SEI, TU SEI
    君が寝てる間に
  6: SEI
    君の存在
  7: DIMMI COS'E'
    愛の翳り
  8: VAI SOLA
    君を守りたい
  9: SOLO
    アローン
 10: E NON MI DIRE CHE HO BEVUTO
    ボーイズ・ライフ
 11: NATI PER VIVERE
    ボーン・トゥ・リヴ
 12: ANDARE, PARTIRE, TORNARE
    君のもとへ
 13: DI PIU'
    モア
 14: FIANCO A FIANCO
    フォーエヴァー・ウィズ・ユー
 15: LAURA'S AWAY
    ローラズ・アウェイ







 イタリアで人気のあるシンガー。このアルバムは彼の4枚目のアルバムだそうですが、ヨーロッパや南米で大ヒットしたようです。とくに1曲目の「Laura Non C'e'」は世界的にビッグ・ヒットし、イタリアではこの曲をモチーフにした映画までつくられたんだとか。日本盤の15曲目(ボーナス・トラック)は、この曲の英語ヴァージョンです。

 ネックは本名をフィリッポ・ネヴィアーニ(Filippo Neviani)というそうですが、なんでネックなんでしょうね。
 彼は自分で曲を書き、ギターも弾くようです。アルバムのブックレットではフレットレス・ベースを抱えた写真が掲載されていますが、このアルバムではベースは弾いていません。

 ちまたではスティング(Sting)に似ているという声もある彼の歌ですが、自分はときどきU2を思い出してしまいます。どっちにしろ、いわゆるイタリアらしさは希薄な感じです。
 エロス・ラマゾッティ(Eros Ramazzotti)と並んで、イタリアを代表するポップ・シンガーのひとりと呼ばれているようですが、同じポップでも、たとえばエロスやパオロ・ヴァッレージ(Paolo Vallesi)の曲の根底には、脈々と続くイタリアン・メロディの息づきがあるのに対し、ネックやジャンルカ・グリニャーニ(Gianluca Grignani)などにはそれが希薄です。ネックたちの音楽のベースは、イタリアではなく、英米なのではないかと思います。

 そういう点で、個人的にはそれほど、ネックには興味がありません。曲自体は悪くないし、歌もうまいし、いわゆるポップス・シンガーのひとりとして聴くぶんには、クオリティも高いと思います。ただ、イタリアらしいポップスという範疇で語るにはワールドワイド志向が高い曲想といえます。
 もちろんこれも、今のイタリアの音楽のひとつではあるのでしょうが、自分が求めている方向とは多少、違うものです。

 とはいえ、今現在、実際にイタリアで人気のある若いシンガーのアルバムが、日本盤でリリースされたというのは、非常に喜ばしいことです。日本デヴューとなったこのアルバムに続いて、その次のアルバム(本国での5枚目)『イン・ドゥエ(In Due)』も日本盤がリリースされる(本国とほとんど時間差がなくリリースされました)など、リリースもとのワーナー・ジャパンはけっこう期待しているというか、力を入れているのかなと思いました。

 ただ、それにしては、ライナーの手抜き加減はひどいです。「彼を知らずして、イタリアは語れない」とか書いてるわりには、正確なディスコグラフィも載せず、これまでの活動に関する記述もほとんどない。これじゃ、彼のことを知りようもありません。
 ライターの記名もなく、社内の人間が本国から送られてきたリリースをもとに、間に合わせに書いたんじゃないかと思わせるようなライナーになっています。ただでさえイタリアのアーティストについての情報を日本で得るのはむずかしいのだから、ライナーぐらいはきちんと事情を知っている人に依頼して、ちゃんと紹介してもらいたいものです。
 とはいえ、イタリアで今、活躍している若いシンガーのアルバムを日本で手軽に買える機会など、それほどないので、この状況を素直に喜ぶべきかもしれません。

 過剰な哀愁やしつこさのない、しかしまぎれもなくヨーロッパの香りのするポップ・ロックなので、イギリスなどのポップスと同じ流れで聴くことができるかもしれません。そういう点ではイタリア初心者にもすすめられると思います。もちろんイタリア大好きという人にも、アピールするところはきっとあるはずです。

(1999.02.21)








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