all songs written and arranged by Nico Di Palo, Gianni Belleno, Vittorio De Scalzi
Vittorio De Scalzi: tastiere
Gianni Belleno: batteria
Nico Di Palo: chitarra
Beppe Quirici: basso
Maurizio Sarpero: sax
Marco Canepa: programmazione
冒頭からデジタリック&エレクトリックな音が聞こえてきて、ちょっと戸惑ってしまいました。派手なキーボードとドラムマシン。細くてキンキンした感じのエレキ・ギター。ずっとこんな感じの音が続くとつらいなぁ。ただ救いは、ベースがフレットレスなので、そこから独特の暖かみが生まれることでしょう。このベースの音とフレーズが、ずいぶんと曲の印象を優しくしてくれています。
イタリアン・ポップス界でフレットレスベースといえば、Pooh(プー)のRed Canzian(レッド・カンツィアン)という名手がいます。New Trolls(ニュー・トロルス)のこのアルバムではBeppe Quirici(ベッペ・クィリチ)が弾いているわけですが、フレージングなどの点でさすがにRedにはかなわないものの、なかなかいい塩梅に曲に溶け込んでいます。
M2「On The Broadway」は英語で歌われる、かなりアメリカンでディスコティークなロック・チューンで、いっそうの派手派手しい演奏と音づくりが自分的にはもうひとつ。
M3「Alberi」は、ある意味ではNew Trollsらしい、メロディアスでゆったりしたバラードですが、メロディの持つ深みや密度は薄い感じです。彼らって、もっと魅力的なメロディを書けたはずなのになぁ。
M4「Sebastiano」はラテンなイメージを持ったポップス。ほんのり哀愁&ほどよい軽やかさがあります。
M5「Cielo chiaro」のあたたかさやM6「Nuvole」のやわらかさは、とてもイタリア的だし、New Trollsらしい感じです。派手派手にならない演奏のほうがやはり、彼らの魅力が生きるように思います。
M7「Naia」ではチープなキーボード・ストロークがかわいらしいです。ほんのりレゲエ風なアレンジで、南のイメージが心地よいです。
ここまで聴いて気づいたんですが、このアルバム、コーラスがほとんど目立ちません。New Trollsといえば、厚みのあるコーラスやヴォーカライゼーションが大きな魅力なのですが、それがあまり目立たないところに、このアルバムの弱さがあると思います。
曲的にはM3、M6、M8「Non torno a casa」など、New Trollsらしい、よい感じのものもあるのに、ここにあのヴォーカライゼーションがないことが、とても残念です。演奏レベルなどは充分なので、これがNew Trollsのアルバムじゃなければ、もう少し高く評価したいところではあるのですが。