produzione: Gianfranco Lombardi
arrangiamenti: Gianfranco Lombardi e New Trolls
Gianni Belleno: batterie, voce
Nico Di Palo: chitarre, bassi, voce
Ricky Belloni: chitarre, voce
Vittorio De Scalzi: tastiere, voce
このアルバムを聴くのはひさしぶりです。朝の出勤時に聴いていたのですが、早朝の冷たい空気のなか流れるM1「Il treno」の汽車のSEがとてもマッチしていました。サビ後にギターが奏でるテーマ・メロディ(?)もしみます。ただ、せっかくいい気分になったのに、M2「La signora senza anelli」の中途半端なディスコ・ミュージックは興ざめです。サイケ・バラード風のM3「L'uomo in blu」で復活するのでいいのではありますが。
M5「Gilda 1929」冒頭のコーラス・ワークから、なだらかなメロディへとつながる部分では、まだ夜も明け切らない早朝にトスカーナで乗ったローカル電車から眺めた風景を思い出しました。リズム・マシーンを使った電車のガタン・ゴトンというSEも雰囲気を高めます。この曲も、続くM6「Quella luna dolce」も、New Trollsならではのやわらかなメロディと完璧なコーラスを楽しめます。
M7「Il serpente」はレゲエ風のリズムがどことなくコミカルです。メロディもかわいらしく、子供向けポップスとしても使えそうな感じ。
M8「La mia canzone」はM2と同様、リズムを強調したディスコ風のポップス。こういったディスコ風の曲は他のアルバムでもいくつかあるんだけど、New Trollsはあまりうまくないと思います。Pooh(プー)のほうが上手ですね。
M9「Strano vagabondo」はファルセットのやさしいヴォーカルを中心においた曲で、前半のソフトなバラード部分がちょっと都会的でおしゃれな感じ。サビの部分ではほんのりソウル風なコーラスも入り、派手な感じになります。こういった曲調の変化や対比が、やはりイタリアン・ポップスでは楽しいです。アルバムの最後を締める曲としてはちょっと弱いかなという気もしますが、これはこれでやわらかな余韻を残しているともいえそうです。
長いキャリアのなかで、プログレッシヴ・ロック、ポップス、ディスコ・ミュージックと、いろいろな音楽を奏でてきたNew Trollsですが、このアルバムには、そういったキャリアがある意味、集大成されているといえるのかもしれません。でも、やはり彼らのいい部分はポップスにあるわけで、そこにプログレッシヴ風のドラマティックな味付けが加わったときが最良と思います。