testi e musica di Nicola Randone
arrangiamento: Bulbo
hanno suonato:
Nicola Randone, Giovanni Bulbo, Enrico Boncoraglio, Riccardo Cascone
新人カンタウトーレのようです。全体に「派手になったTito Schipa Jr.(ティト・スキーパ・ジュニア)風」な印象を受けました。「愛の終焉」などというロマンティックなタイトルがついていますが、プログレッシヴと呼ぶのにふさわしいカンタウトーレ作品だと思います。グループではなく、ソロ・アーティストの作品でここまでプログレッシヴな味付けがされている作品って、最近ではめずらしいのではないでしょうか。
オープニングのM1「Visioni」からプログレッシヴ・カンタウトーレとしての実力を存分に感じさせます。Tito Shipa Jr.を思わせるヴォーカルもすばらしいです。
M2「Il pentimento di Dio」はレゲエ風のリズムにクセのあるヴォーカルが乗り、Nina Hagen(ニナ・ハーゲン)の「African Reggae」を思い出しました。途中でかぶさる男声合唱とレゲエのギャップもおもしろいですし、最後はなぜか声明のようなものが入り東洋風な侘び・寂びで終わるのも不思議な感じでよいです。
M3「Tutte le mie stelle」ではキーボード・オーケストレーションが派手に鳴り響きます。しゃべくり系(?)のヴォーカルがカンタウトーレ的です。
M4「L'infinito」はスケール感のあるメロディとキーボードによる壮大なオーケストレーションが魅力。繊細かつ力強い、魂の入ったヴォーカルは、Peter Hamill(ピーター・ハミル)に通じるものを感じます。ハードなギターも導入されたドラマティックな曲です。
M6「La Giostra」もドラマティックな曲です。ドリーミーなギター・ソロ、力強いリズム、美しいコーラスなど、聴きどころの多いシンフォニック・プログレッシヴ・ロックになっています。
M7「Strananoia」では軽やかなポップ・センスを感じさせます。明るく前向きなシンフォニック・ポップスといえるでしょう。
M8「Amore Bianco」はヴォーカル・ラインがいかにもプログレッシヴ・ロック風。往年のイタリアン・プログレッシヴにはこういったヴォーカル・ラインがたくさんあったように思います。かといって、古臭いとか陳腐というわけではけっしてありません。往年のプログレッシヴ・ロックが持っていた、美しいながらも引っかかりやクセのあるこういったフレーズが聴きたくて、自分はプログレッシヴ・アルバムをむかしはたくさん聴いていたんだよなぁということを思い出しました。
M9「Morte di un amore」も、いかにもプログレッシヴ・ロック風なスケール感とスピード感のある曲。カンタウトーレの作風というよりは、ロック・グループのアレンジとアプローチに近いでしょう。繊細ながらも強さのある声とバックの演奏との調和がドラマティックです。終わり方が少しあっさりしているかなという気もしますが、その点は現代的といえるかもしれません。
トラック・リストには載っていませんが、M9エンディングの心臓の鼓動のようなドラムに続いてシークレット・トラックが始まります。テープの逆回転などを使い、ちょっとむかしの実験的ポップス風になっていますが、あまりメリハリのない構成でいまひとつです。SEも使いすぎで白々しいし、ヴォーカルにもこれまでのような入魂感がありません。アルバム全体の完成度から考えると、このトラックは必要なかったのではないかと思います。