idea musicale di Alfredo Tisocco - Giorgio Bisotto - Donella Del Monaco
Alfredo Tisocco: painoforte, sinthetizers
Donella Del Monaco: canto
Vincenzo Caroli: flauto
Pieregidio Spiller: violino
Enrico Professione: violino
Manuela Rizzo: viola
Alberto Brendolin: violoncello
Toni Lee: chitarra
Gianfranco Spigolon Meneguzzo: contrabasso
Saverio Tasca: percussioni
hannno collaborato: Luciano Tavella, Giuseppe Marotta, Edy De Fanti, Gianpaolo Padovan, Riccardo Perraro, Alberto Crivelletto
musiche di Alfredo Tisocco
tesiti di Donella Del Monaco
direzione ensemble: Alfredo Tisocco
direzione artistica: Giorgio Bisotto e Alfredo Tisocco
Opus Avantra(オプス・アヴァントラ)のファースト・アルバム『Introspezione』(1974年)は、イタリアン・プログレッシヴ・アルバムのなかでも至宝の1枚だと思います。
優れた芸術性、匂い立つ叙情、強い前衛性がありながら、全体にやわらかなポピュラリティが漂っています。Opus Avantraというグループ名は、前衛(アヴァンギャルディア)と伝統(トラディショナル)の融合を意味するらしいですが、そのコンセプトが存分に発揮された作品だといえるでしょう。それでいて、それほど難解さを感じさせないところが、プログレッシヴ・ロックとして優れていたと思います。
その後、1975年にセカンド・アルバム『Lord Dromwell plays Suite for Seven Vices』をリリースしてから沈黙を守っていたグループが1980年代の終わりに突然リリースしたのがこのアルバムです。
このアルバムでもDonella Del Monaco(ドネッラ・デル・モナコ)の情感に満ちたソプラノが聴けますし、Opus Avantraらしい無調ふうの室内楽ロックも奏でられています。セカンド・アルバムではいくぶんフリーな感じが強まっていたことを考えると、方向性としてはよりファースト・アルバムに近いのでしょう。
しかし、ファースト・アルバムに感じられた芳醇さが、このアルバムにはファーストほどにはないように思います。歌も演奏も、ある意味で円熟味を増し、楽曲的にもより整理されたものになっているのですが、そこに込められた魂の量とちからが違うような気がするのです。
それはやはり、プログレッシヴ・ロックが熱かった1970年代前半と、再評価の時代であった1980年代終わりから90年代という、プログレッシヴ・ロックという音楽を取り巻く環境の違いのせいなのでしょうか。
前衛性と叙情性、それにクラシカルな要素が絶妙なバランスのもとに共存していて、それぞれの要素が複雑に絡み合いながらおたがいを高め、味わいに厚みと深み、広がりを与え、ふくよかで濃厚な余韻を残すという、上質の赤ワインのようなニュアンスを持ったファースト・アルバムにくらべると、このアルバムははるかにシンプルでわかりやすいと思います。ファースト・アルバムの持っていたよい要素を、より明快に表現・再現することに努めたのかもしれませんが、その分、非予定調和のなかで思いがけず調和してしまったときのような予期しなかった美しさと安心感、そして捨てがたいノスタルジーなどを見出すことは難しいといえるでしょう。
とてもOpus Avantraらしい音楽だしアルバムなのですが、なんとなく、その「らしさ」が気になってしまう部分もあります。
ファースト・アルバムはリスナーを選ぶタイプの作品だとは思います。その点で、彼らの音楽を聴いたことのない若いプログレッシヴ・ファンにはかえって、このアルバムのほうが聴きやすいのかもしれません。
しかし、せっかく聴くのであれば、やはりファースト・アルバムのすばらしさを体感すべきでしょう。