produzione artistica: Paolo Steffan
Aldo Tagliapietra: basso, chitarra, voce, sitar
Michi Dei Rossi: batteria, percussioni, glockenspiel, gamelan
Francesco Sartori: pianoforte, tastiere
Michele Bon: organo, tastiere, synt, voce
Paolo Steffan: chitarra
Pepe' Fiore: tabla
Venice Gospel Ensemble diretto da Andrea Dal Paos
演奏よりも歌声に強くひかれてしまう... 自分にとってLe orme(レ・オルメ)はそういうグループです。一応EL&Pタイプのプログレッシヴ・ロック・グループと呼ばれたりすることもある彼らですが、自分はあんまりプログレということを強く意識して彼らを聴いたことがありません。まぁ、あまり高くない演奏力以上に、イタリアでしかありえない味わい深いヴォーカルの印象があまりにも強いからでしょうか。
演奏はヘタだけど、歌がいいんだよ... 1970年代の、全盛期の彼らに対する、よく聴かれる評価です。実際、それは決して的外れではないと思います。
でも、再結成・活動再開後最初のアルバム(でしたよね、たしか)となる『Il fiume』では、そんな評判を跳ね返すような、いかにもシンフォニック・プログレッシヴらしい力強い演奏を聴けます。楽器が新しくなったこともあるのでしょうが、クリアかつ厚みのあるキーボード・オーケストレーション。ぼこぼこした音だけどドタバタ感の減ったドラム。ポンプ・ロック以降のグループのような伸びやかなギター。そしてなにより、インストゥルメンタル・パートがふんだんに盛り込まれていて、しかもそれが安定した演奏力で、安心して聴いていられるのです。
ヴォーカルは、あいかわらず独特の個性をふりまいています。まさにOrmeのヴォーカルです。このヴォーカルがなかったら、このアルバムがOrmeのアルバムだと自分は気がつかなかったかも。そのくらい、演奏と曲調は1970年代のOrmeとは違うように思います。すっきりとまとまったシンフォニック・プログレッシヴ・ロックが演奏されており、より新しい世代のグループのようです。途中では合唱まで入ってしまったりします。
河の水音のSEから始まり、エンディングに向けてじわじわと盛り上がっていく。こういった曲調・構成はわりと自分の好みですが、Ormeらしいひなびた感じが薄まってしまったのは、少し残念ではあります。しかしシタールやタブラといったエスニックな楽器も取り入れ、「河」をテーマに(この時代に)コンセプト・アルバムをつくろうという彼らのプログレッシヴ魂に、そして納得のいくクオリティの作品をつくりあげた彼らの技量に、敬意を評します。
うん。いいアルバムだと思いますよ、これ。