ORO


RE TOUR (2000年)

   オーロ / レ・トゥア
    (MR MUSIC / D.V.MORE RECORD - MRCD 4219 / イタリア盤CD)



    jacket photo
  1. L'AMORE E'
  2. VIVO PER...
  3. AMICI
  4. DOVE TI PORTA IL CUORE
  5. LA RABBIA
  6. LA VUOI LO VUOI
  7. PADRE NOSTRO
  8. PER TE PER NOI
  9. ROSE ROSSE E CAFFE'
  10. SE UNA DONNA PARTE
  11. TIENIMI DENTRO DI TE
  12. QUANDO TI SENTI SOLA
  13. NEL SOLE NEL MALE
  14. GENNY


prodotto da VALERIO LIBONI
produzione artistica: O.R.O.

voci, cori e chitarre acustiche: Mauro Mengali e Valerio Zelli (O.R.O.)

hanno suonato:
chitarre: Marco Marchionni
tastiere e piano: Roberto Magnanensi
basso: Walter Cerasari
batteria: Fabio Colella







 1997年のアルバム『3』リリース以降、活動のニュースを聞くこともなくなり、解散してしまったのかなと思っていたOro(オーロ)ですが、3年ぶりのアルバムがなんの予告もなく突然リリースされました。といっても完全な新譜というわけではなく、過去の曲の新録と新曲2曲で構成された、いわゆるベスト盤もどきです。
 アルバム・タイトルからは、もしかしたらライヴ盤かという期待もあったのですが、すべてスタジオ収録でした。

 Oroはもともと、Marco Masini(マルコ・マジーニ)のアルバムのアレンジャーなどでも知られるギタリストのMario Manzani(マリオ・マンツァーニ)を中心に、スタジオ・ミュージシャンなどが集まって結成されたグループのようです。
 1995年のデヴューアルバムでは5人でスタートしましたが、翌96年のセカンドではメンバーが6人に増え、さらに翌97年のサードでは3人に減るなど、1作ごとにメンバーが変動していたところを見ても、グループとしての結束力は弱かったことをうかがわせ、パーマネントなグループというよりはプロジェクト的な意味合いが強いのだろうなと思っていました。

 しかし、ヴォーカルを担当していたValerio Zelli(ヴァレーリオ・ゼッリ)とMauro Mengali(マウロ・メンガーリ)は、そうは思っていなかったようです。
 サードアルバムをリリースしたのち、97年末のコンサートを最後に、リーダーで中心人物であった(と思われる)Mario Manzaniがグループを脱退してしまい、グループはそのまま空中分解状態になってしまったようですが、ValerioとMauroのふたりはOroを名乗りつづけ、サポート・ミュージシャンとともにコンサート活動を地道に続けていたのだそうです。そしてようやく、新曲2曲を含む新しいアルバムのリリースにこぎつけたわけです。

 しかしOroのメンバーは、ギター&ヴォーカルのValerioとMauroのふたりだけになってしまいました。演奏はすべてヘルプのミュージシャンに託されています。
 その結果、残念なことに、演奏に厚みも深みもない、薄っぺらなポップ・アルバムができあがってしまいました。

 収録曲のほとんどが旧曲なので、曲自体が悪いわけではありません。Oroならではのドラマティックでスケール感のあるヴォーカル・ラインが聴けます。しかし、それをサポートする演奏やアレンジが非常にイージーかつチープで、いかにも素人臭いのです。とくにキーボードのアレンジと音づくりのセンスのなさはひどく、手抜きのやっつけ仕事にしか思えません。また楽器間の録音バランスも悪く、各楽器がアンサンブルとなるのではなく、全体がバラバラになり、それぞれの楽器の良さを打ち消しあっている部分が多くあります。ミックスにも繊細さと愛が感じられません。ミックスはMauroのプライヴェート・スタジオで行なわれたようですが、多分、ろくな設備もない手作りスタジオなのでしょう。
 ともかく、なにからなにまで、すべてがアマチュアっぽいのです。

 思えばMario Manzaniのギターは、ハードロック/ヘヴィメタルの影響も感じられる、非常に厚みと粘りのある音色と伸びやかなフレーズを奏でていて、これはOroというグループの大きな魅力のひとつでした。このたっぷりした厚みに裏づけされたドラマティックな哀愁は、メンバーがMario、Valerio、Mauroの3人となったアルバム『3』でも充分に発揮されていたわけですから、やはりOroというグループはもともと、Marioの色が強く出ていたグループであり、そこに最大に魅力があったのだと感じます。

 ただ、曲のクレジットを見ると、大ヒットとなった「Vivo per...」にMarioの名前はなく、クレジットはValerioとMauroだったりするので、このふたりにはソングライターとしての才能、センスはあるのでしょう。とすると、いまのOroに必要なのは、メロディの持つ魅力を充分に引き出すことのできる優秀なプロデューサーとアレンジャーということになります。そしてやはり、Oroの音楽を「自分たちの音楽」として愛し大事に演奏する、パーマネントなメンバーも必要なのではないでしょうか。
 ValerioとMauroは、2001年中にはオリジナルなかたちでのニューアルバムをリリースしたいと活動を続けているようですが、このアルバムで聴かれるような演奏と録音、プロデュースしかできないのだとしたら、未来は暗いように思います。せっかく良いメロディを持ったグループなのだから、きちんとしたスタッフとともに、良いアルバムをつくってほしいものです。

 ところで、この『Re tour』はMR MUSICというところがリリースし、D.V.MORE RECORDがディストリビュートしています。ところが同時期に、D.V.MORE RECORDのリリースで『The Best of Oro』というアルバムもリリースされています。
 この2枚のアルバムは、『Re tour』のほうは新曲が「Nel sole nel male」と「Genny」の2曲収録されているのに対し、『The Best of Oro』では「Genny」のみ収録と曲数が1曲少ない以外は、内容がまったく同じらしいです。なんだかよくわからないリリース形態です。

(2001.08.19)







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